| ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修 |
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330107 |
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<審査の視点> JISQ9001には、6.3項で「インフラストラクチャー」の規定がある。 これに対して、インフラストラクチャーの「明確化」のために設備リストの作成が必要であるとの解釈が一般的である。 また、「維持する」ために設備保全の手順や記録が必要と解釈されている。 <自 問> 6章の標題は「資源の運用管理」であるから、6.3項は「インフラストラクチャーの運用管理」の意味である。「資源の運用管理」とはどういうことを意味しているのか。 必要なインフラストラクチャーを「明確にする」とはどういう意味か。 また、インフラストラクチャーを「提供する」「維持する」とはどういう意味か。 7.5.1 c)項の「適切な設備の使用」は、6.3項の「維持する」とどう違うのか。 <考 察> <翻訳についてのJIS巻末"解説"の説明> JIS9001規格巻末の解説は、3.2項で「翻訳において特に問題になった事項」を説明している。 その3.2 n)項で management の翻訳について、「文意によって、「マネジメント」「運営管理」「運用管理」の3つを使い分けた」と説明されている。しかし、「資源のマネジメントには運用管理という訳語を当てた」と記されているのみで、 その文意についての説明はない。 determine については 3.2 g)項で、「対象の性質を明らかにして何かを定めるという意味である」とし、「対象の理解が主意である時は "明確にする"、決定が主意であるときはなら "決定する" と訳した」と説明している。 この説明では、6.3項の determine の主意は 必要なインフラストラクチャーを「決定する」ではなく「理解する」ことになる。 <資源の運用管理> 6章の標題の「資源の運用管理」の原英語は、resource management である。 quality management が「品質マネジメント」であるから、「資源マネジメント」のことである。 品質マネジメントと同じ定義(JISQ9000:3.2.8)を適用するなら、「資源に関して組織を指揮、管理する体系的活動*」である。 規格におけるマネジメントの方法論的は「方針及び目標を定め、それを達成する*」(JISQ9000:3.2.2) PDCAの活動であるから、資源マネジメントも同じようなPDCAの活動である。 6.1項は、この資源マネジメントの対象が、品質マネジメントシステムの効果的な運用と顧客満足の向上のために必要な資源であることを明確にしている。 この内6章では、人(6.2)とインフラストラクチャー(6.3)と作業環境(6.4)について要求事項を規定している。 <必要なインフラストラクチャーを明確にする> 「明確にする」の原英語は determine であり、これには、絶対的に確定する、判決で決定する、代替策や可能性の中から選んで確定する又は決定する 等々の意味がある。 原英語は要するに「決定する」の意味であって、不明確なものを「明確にする」とか、文書に書いて「明確にする」とかの意味を表す単語ではない。 組織は顧客満足向上を図るために、顧客のニーズと期待、つまり、顧客要求事項、を決定し(5.2)、これを元にしてどのような品質の製品を顧客に提供するか、つまり、具体的な製品要求事項、を決定する(7.2.1)ことになる。 そして、「製品要求事項への適合の達成のために*」(6.3)、つまり、製品の狙いの品質を造り込むために、どのようなインフラストラクチャーが必要なのかを検討し、「決定する」ことが必要である。 この決定は、定められた或いは必要なタイミングで行なわれるのであろうが、トップマネジメントが改めてこの必要を評価検討し「決定する」機会がマネジメントレビューである。マネジメントレビューからのアウトプットの「資源の必要性」(5.6.3 c))についての「決定及び処置」とはこのことを指す。 「明確にする」とはこのように何が必要かを「決定する」という意味であり、現在使用している設備などインフラストラクチャーを一覧表に書いて「明らかにする」ことではない。 <必要なインフラストラクチャーを提供し、維持する> 「提供する」は provide の和訳である。"組織が組織に提供する"のであるから、「使用できる状態にする」の意味である。 「維持する」は maintain であり、これは規格(ISO/TC176/N526R)では「使い続ける」の意味であり、計画の目的を達成できるように管理することも含む。 どのようなインフラストラクチャーが必要かを判断し決定した組織は、そのインフラストラクチャーを購入するなどして組織内で使用できるようにし、かつ、実際に使用し続けなければならない。 実際に使用し続けるには、インフラストラクチャーの使用による劣化を防ぎ必要な性能を保つための保全の活動が必要である。 これらが「提供する」「維持する」である。 設備リストは抜けのない保全の管理には有用であろう。 保全管理のための設備点検の記録については規格は何も要求事項を定めていない。因みにTC176の解釈委員会では「保全の記録」の必要性を明確に否定している。(こちら) <インフラストラクチャーのマネジメントのPDCAサイクル> インフラストラクチャーマネジメントは必要と考えられるインフラストラクチャーを「明確にし、提供し、維持する」PDCAを廻すことである。 「明確にする」がP、「提供する」がD、「維持する」がCであり、これらとAに相当するマネジメントレビュー(5.6)と合わせて インフラストラクチャーのマネジメントのPDCAサイクルが構成される。 顧客満足の向上を図らんとする組織は、どのようなインフラストラクチャーが必要であるかを検討し、諸インフラストラクチャーを新設又は改造してその必要を満たし、実際にそれらを使用して製品を造り、その結果を分析して、狙いの通りの品質が得られたかどうかを評価し、是正あるいは新たな必要を検討する、というインフラストラクチャーチャーに関するPDCAのマネジメントを、品質マネジメントの中に織り込むことが必要である。 <設備の保全> 7.5.1 c)項の「適切な設備を使用している」は use of suitable equipments で、「適切な」は suitable であるから、使用に適するか適さないか(adequate)ではなく、使用目的に合った設備かどうかの問題である。 例えば製品実現の計画で指定された設備を使用するということであり、従って、7.5.1 c)項は保全の管理の意味ではない。 94年版では 4.9(工程管理)の b)項が「適切な設備の使用」で、g)項に「設備の適切な保全」が規定されていたが、2000年版の7.5.1項からは後者が抜けた。 2000年版では設備の保全は、資源マネジメントの「維持」の一環として 6.3項に規定されていると考えられる。 <自 答> 6.3項はインフラストラクチャーのマネジメントに関する規定である。 組織は顧客満足を図るために必要と判断した製品の品質を造り込むこむため、必要なインフラストラクチャーを決定し、使用できるようにして実際に使用し、製品の製造、使用結果を評価して新たなインフラストラクチャーの必要性を決定するというPDCAのインフラストラクチャーのマネジメントの活動を、品質マネジメントの中に取り込むことが必要である。 インフラストラクチャーの必要を誰がどのように評価、判断し、組織の決定に繋げるのか、責任や仕組みを確立することが、インフラストラクチャーのマネジメントに関する規格の最も重要な要求事項である。 設備リストは「維持」の活動に有用かもしれないが、規格の要求事項の趣旨とは合致しない形式的解釈である。 *印 筆者による翻訳 |
| H16.6.14 |
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