| ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修 |
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33-01-03 |
<自 問> ★ 検査員、内部監査員は資格認定が必要か? 94年版の 4.18 項(教育・訓練)には、「必要に応じて(中略)資格認定すること」との要求事項があり、これに対応してほとんどの組織で、試験、検査員と内部監査員に対して、また、機器の校正員に対しても、資格認定の仕組みを定め、運用している。システム構築の多くの解説書も、これを求めていた。 2000年版では、教育・訓練は 6.2.2 項(力量、認識及び教育・訓練)で規定され、資格認定の要求事項は存在しないが、資格認定の仕組みをそのまま継承している組織がほとんどである。 これらの要員に対する資格認定の必要性は、94年版規格のどこに規定されているのだろうか? ★ 関連する疑問 2000年版では、「有資格者」という言葉が消え、「資格認定」の要求事項もなくなったが、これはどうしてであろうか? また、2000年版では「力量」という用語が使われているが、これと「資格」とはどう違うのだろうか? <考 察> < 94年版 規格要求事項 > ★「有資格者」が実行しなければならない業務 4.18 項の「必要に応じて資格認定すること」に対応して、「有資格者」が必要と規定されているのは、4.4.2 項の「設計及び開発の活動は、(中略)有資格者に割り当てること」と、4.9 項の「その工程(いわゆる特殊工程のこと:筆者註釈)は有資格者が作業を実行すること」の2ケ所だけである。 試験、検査員、内部監査員、校正員に係わる、4.10 項(検査・試験)、4.17 項(内部品質監査)、4.11 項(検査、測定及び試験装置の管理)には、有資格者の必要性の規定はない。 ★ 関連する要求事項 多くの解説書が、94年版の 4.1.2.2 項(経営資源)への対応として、検査員、内部監査員に対する教育訓練を挙げている。 ここにも資格認定という言葉はないのであるが、「内部品質監査を含む検証活動に対して、訓練された要員( 4.18 参照)の割り当てなど、必要な経営資源を(中略)提供すること」と規定されていることからの解釈であろう。 各条項毎に「何をする(どのように対応するのか)」との "審査の視点"の規格解釈では、この 4.1.2.2 項の「資源を明確にし、提供すること」という要求事項は難問である。そこで「訓練された要員( 4.18 参照)の割り当て」を 4.18 項の資格認定に結びつけて、"対応"としたものと想像される。 また、4.17 項(内部品質監査)の 参考21 に「監査に対する指針はISO10011に規定されている」と記述されており、これを基に内部監査要員の教育訓練や資格について強調する解説書もある。 ★ 検査員、内部監査員に対する資格認定は、明文の要求事項にはない 94年版規格では、設計、開発と特殊工程を担当する要員に対して資格認定をすることを規定している。しかし、検査員や内部監査員、校正員に対する資格認定の要求事項は存在しない。 恐らくは、"審査の視点"がもたらした 4.1.2.2 項、及び、4.17 項(参考21)の拡大解釈が、検証活動に従事する要員に対する資格認定が必要という拡大解釈をもたらしたのであろう。 < 経営資源の提供(4.1.2.2項)を根拠とする解釈の問題点 > ★ 検査員、内部監査員の資格認定だけで品質システムは効果的に実施できるのか 要求事項を規格の目的達成のための必要条件と見る考え方、"実務の視点"では、94年版の 4.1.2.2 項は、品質システムの効果的な実施のためには、人、金、物が必要であることを示すものであり、変化する業務の状況に応じて必要な各資源が確実に抽出され準備され使用されるような仕組みとなっているかどうかを評価する。これは、2000年版では、資源マネジメント*(resource management)として 6章を設けてより明確に詳細に規定されることとなった。 詳細になった6章が、品質システムの効果的な実施のための資源として、人的資源、インフラストラクチャー、作業環境とそれらの要件を挙げているのであるが、94年版では、検査員、内部監査員の資格認定だけで品質システムの効果的実施が可能となるのだろうか。実際、JISZ9904:1994( 5.2.4 項)は経営資源として、人的資源、製造や検査、試験の設備、設計開発の設備、計装、ソフトウェアを挙げている。 ★ 訓練された要員が資格認定なら、すべての要員の資格認定が必要 さらに、4.1.2.2 項の「検証活動に対して、訓練された要員の割り当てなど、経営資源を」という文章は、原英文を見ると「resources (経営資源), including the assignment of trained personnel(訓練された要員の割り当てなど), for management, performance of work and verification activities(管理、業務の実行及び検証活動に対して) including internal quality audits (内部品質監査を含む) 」であるから、訓練された要員の割り当ては「管理、業務の実行及び検証活動」に対して行わなければならない。つまり、 訓練された要員が有資格者とする解釈では、品質システムに関係するすべての人に資格認定をしなければならない。 < 力量と資格認定の違い > ★ 2000年版には 資格認定がなく、力量が規定 2000年版では有資格者や資格認定の要求事項がなくなり、力量という概念が用いられている。そして「製品品質に影響がある仕事に従事する要員は、関連する教育(学校教育:筆者註釈)、訓練(教育・訓練のこと:筆者註釈)、技能及び経験を判断の根拠として力量があること」と、特定の業務に従事する人に限定せず、すべての人に力量があるべきことを規定している。 ★ 有資格者とは ( ISO8402: 2.13 、2.14 ) 「資格がある」とは、「"もの" が、規定要求事項を満たす能力を有することを実証されている状態*」である。「資格認定する」とは、それを実証するプロセスである。 ★ 力量があるとは ( JISQ9000: 3.9.12 ) 「力量」とは、「知識と技能を活用する実証された能力*」であり、その能力が実証されている状態が「力量がある」ということである。 なお、力量の原英語は、 competence であり、これは、ISO14001 の 4.4.2 項(訓練、自覚及び能力)の「能力」の原英語と同じである。 ★ 94年版の教育・訓練の目的は力量をもたせることだった 2000年版では「必要な力がもてるように教育・訓練すること」(6.2.2 b))と教育・訓練の目的を明確にしている。このことから、94年版の教育・訓練( 4.18 項)も力量をもたせることが目的であり、「訓練された要員」(4.1.2.2 項)も 「力量のある要員」を意図していたことがわかる。 2000年版で「力量」という用語が登場したが、2000年版が ISO/IEC の規格作成指針の「パフォーマンス アプローチ」に基づき、手段でなく目標の形で規定を記述したことから、規格の意図が明確になっただけと考えることもできる。 ★ 力量と資格認定とは同じ意味にもなる 「資格がある」の定義の "もの" が要員であり、規定要求事項をその仕事に必要な知識と技能を活用できることとすると、「資格がある」と「力量がある」とは同義語となる。 94年版では、すべての仕事は、必要な力量をもつように教育訓練された要員によって行われなければならないと規定する一方、力量のあることを実証しなければならないのは、設計、開発と特殊工程の要員に限定していたということになる。2000年版ではすべての要員にその仕事をできる能力のあることが実証されていなければならない。 ★ 力量の規定は、形式主義の排除が目的 94年版でも「資格認定」は 4.18 項(教育・訓練)で規定されており、資格を持たせるのは教育訓練であることを明確にしていた。しかし、教育訓練さえすればよい、資格認定さえすればよい との誤解と形式主義の取り組みが拡がったため、これに対する反省から、2000年版では「力量」という用語を用い、そして、教育訓練をすれば力量がつくとは限らないので、本当に力量をもったかどうか教育訓練の有効性の評価をすることが規定された。2000年規格における規格の利益の実現を図るための実質主義のひとつであるとも考えられる。 <自 答> ★ 検査員、内部監査員、校正員の資格認定は、要求事項ではない 94年版では設計開発と特殊作業に対してしか要員の資格認定を必要としていない。資格認定の拡大解釈で、受入検査、中間検査、最終検査、試験員、校正員まで資格認定が必要と考えて、極端な場合は工場長以下作業者の全員に資格認定をしている。しかも、資格認定の承認や認定簿への記入など形式的業務だけになっていることが大半である。しかも、認証審査でもこの書類を要求される場合もあるから問題は深刻である。しかし、組織の役にたたない解釈の強制が、組織のISO規格取組みへの意欲を殺ぐことになることも間違いない。 ★ 資格認定の効果的利用方法 2000年版では資格認定の要求事項はなくなったので、資格認定の要否の議論は起こり得ない。しかし、資格認定とは、公的資格や免許証と同じく、「力量がある」ことを当事者外に証明する手段として使うことができる。現に検査業務を行っている検査員にその力量があることをわざわざ当事者外に証明する必要はないが、本来業務と関係のない内部監査について、誰がその力量を有するかを資格認定で明確にするのも、力量管理の手段としては適切であろう。 |
| H15.5.12(改 H15.6.18) |
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