| ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修 |
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330101 |
<自 問> ★ アウトソース(4.1項)と購買(7.4)とは違うのか? 同じなのか? 2000年版では、4.1項で「アウトソースしたプロセスを管理すること」との要求事項が規定されている。多くの解説書が「アウトソーシング」はプロセスの外部委託であって、製品を購入する「購買」とは異なると説いている。委託先のプロセスを管理できるのが「アウトソース」で、管理できないのが「製品の購買」であると主張もよく見られる。 また、「外注」「下請け」と「外部委託」との違いを強調する考えも、その説明に用いられている。更に、「アウトソース」には 7.4項(購買)とは異なる管理が要求されているとの主張も少なくない。 これらの考えは、「プロセスをアウトソースする」との表現から、従来の「購買」、「下請負契約者」(94年版)、「供給者」(2000年版)との違いを意識したものと思われるが、「アウトソース」は 2000年版で導入された新たな概念なのだろうか。「購買」のひとつの形態なのか、別なのか。また、「外注」「外部委託」「購入」とはどういう関係にあるのだろうか。 ★ 関連する疑問 そもそも94年版規格は、物品とサービス(役務)の購入を区別せずに「下請負契約者」と呼んでいた。 2000年版の「購買」(7.4項)では「供給者」という用語が用いられているが、「供給者」は物品の供給のみで、7.4項の「購買」も物品の購入に限定されるようになったのか。サービスの提供が「購買」でないとするなら、4.1項でそのプロセスを管理しなければならないと規定しながら、その要求事項はどこに規定しているのか。 「購買」と「アウトソース」と区別することの必要性、利点は何か。 しかし、規格が 4.1項でわざわざ「アウトソース」に言及したのはなぜなのか。 <考 察> <規格で用いられている用語> ★ 1994年版 94年版の4.6項(購買)では、「供給者(2000年版の「組織」のこと)に製品を供給する組織」のことを「下請負契約者」と規定していた(ISO8402; 1.13, 1.7)。 従って、加工、組立、運送など作業やサービスの委託先である、いわゆる下請け、外注、外部委託先はもちろん、原材料や物品の購入先まで、「下請負契約者」であった。実際、、購入する製品が物品であれサービス(役務)であれ、「購買」として取り扱われていた。 ★ 2000年版 2000年版の7.4項(購買)では、供給者という呼び方になっているが、定義は「製品を提供する組織又は人」(JISQ9000;3.3.6)であるから、94年版の「下請負契約者」のことである。規格も「用語"下請負契約者"が"供給者"に置き換えられた」と、両者が同一のものであることを明記している(3.定義)。 しかし、この7.4項では「アウトソーシング」という言葉は出て来ないし、JISQ9000には「アウトソース」や「購買」の定義がない。 <事業用語> ★ 下請け(subcontract) 日本では"下請け"と言うと、建築工事のゼネコンから工事の一部を請負う工事請負や製造会社の工場内で一部作業を受け持つ作業請負などのイメージが強い。工場内の清掃や運搬、工場外での加工などは、"下請け"ではなく"外部委託"と呼ばれることも多い。また、"外注"という時には、これら両者を総称していることが普通である。 規格の下請負契約者の原文は Subcontractor であり、これは「主契約者から契約の一部を委ねられた者」<WEBSTER'S>を意味する。 顧客との直接の契約者(prime contractor または、general contractor)が、その契約実行のために外部から物品、サービスを調達する場合に、それを提供する者(顧客から見て二次的契約者)のことである。94年版規格で、役務の外注、下請けだけでなく、原料や部品など物品の購買先も subcontractor であったのは、このためである。 ★ アウトソース Outsourcing は、「組織のIT部門、スタッフ、業務を移管するためにコンサルタントやサービス提供会社を雇うこと」<Lycos; Glossary>との定義もあるように、ソフトウェア作成やコンピューターシステムの保守を専門業者に委託することをきっかけに、1990年代の米国で発展した外注の形態である。更に遡ると、1980年代初頭の米国産業再生の動きの中で、それまでの弊害の筆頭に挙げられていた組合の力を排除するために、非組合地域での立地や外国資本の工場に製造を委託することから使われ出したようである<Merriam-Webster's>。 今日では米国を中心に、ITのみならず人事や営業など、広い範囲の企業の業務機能をアウトソースすることが拡がっている。従来型の外注(subcontract)とは異なる新しい業務外部委託の形態であることを強調する用語である。 ★ 外注とアウトソースの違い 下請けは、製造業や建設業の作業、あるいは、その付帯作業が中心であったが、アウトソーシングはいわゆる管理業務が対象という面が強調される。また、伝統的な下請けは労働力購入の意味合いが強く、親企業が業務実行に主導権をもつ形態が多いのに対して、アウトソーシングの場合は企業内部に無い外部の専門性の活用とか、業務の実行と管理の専門集団への全面的委託という面が強調される。 しかし、下請けも自社にない外部資源の活用が本質であり、今日では親会社の支配から独立して業務を行うことが期待される傾向が強まっている。従って、両者の境界は本質的に判別困難であり、実際上、両者は最近では同義語として使われている。どちらかというと格好良さからアウトソーシングの方が好んで使われる傾向にある。 <規格の意図> ★ アウトソースの定義 TC176が発行する文書<ISO/TC176/SC2/N526R; 用語に関する指針、2001.5.17>に、"Outsource" の定義がある。 それには、「ISO 9000:2000 シリーズ規格の目的と精神からは、用語"subcontract(下請負契約)"と"outsource(アウトソース)"とは、相互に置き換えて用いる事が出来るし、同じ意味である」と明確に記述されている。 すなわち、94年版の購買の相手の下請負契約者と4.1項のアウトソースとは、同じものである。上記の規格の定義のように、2000年版では下請負契約者のことを供給者と呼んでいるのだから、規格においては、供給者、下請負契約者、アウトソース先のいずれもは、物品、サービスの提供者のことである。三者とも物品、サービスの取引(販売・購買)の一方の当事者を意味する用語であって、規格においては概念上でも機能上でも何の差異もない。 ★ アウトソースしたプロセスの管理(4.1項)の方法 文書<ISO/TC176/SC2/N524R2; ISO 9001:2000 1.2項 "適用"に関する指針、2001.3.13>では、アウトソースしたプロセスの性質と負うべきリスクにふさわしい管理をするべきことが述べられた後に、「これらアウトソースまたは下請負契約したプロセスのアウトプットを監視するために、7.4項 購買 を適用するのがよい」と明記されている。 また、同書付属Aの「要求事項の適用の例」において、アウトソースした新製品の詳細設計業務(例7)、下請負契約したビル設計業務(例8)に関して、7.4項(購買)の適用を除外してはならないと説明されている。 アウトソーシングは購買の別名に過ぎない。 7.4項の供給者と製品の管理の要求事項は、アウトソース先とそのプロセス、製品に適用しなければならない。プロセスの外部委託といっても、プロセスの結果としての製品、サービスの購入である。 7.4.2項には、必要によりプロセスに関する要求事項を供給者に伝えるべきことを規定している。 <自 答> ★ 事業取引の表現の違いに過ぎない 顧客に供給する製品のために、組織が行う物品、サービスの調達の事業取引を、契約の観点から見ると「供給者」は「下請負契約者(subcontractor)」であり、 これを、外部戦力の活用、つまり、外部に供給源を求める行為と見ると、プロセスを「アウトソース」したということになる。取引を販売/購入活動と見ると組織の行為は物品、サービスの「購買」であり、これは見方を変えると物品製造プロセス、サービス提供プロセスの「購買」である。 すなわち、事業取引に対する見方の違いに基づく表現の違いだけに過ぎない。アウトソースも下請負も物品・サービスの供給も購買も同じことである。また、外注、業務委託も同じことを意味している。 ★ 購買に関する要求事項は本質的に不変 94年版から2000年版への変化は、目的が品質保証から顧客満足向上になり、このための継続的改善を目指すマネジメントの規格になったことである。規格の目的が変わっても、購買する物品、サービスを規定の購買要求事項に適合させるための購買管理を変えなければならない理由は考えられない。このことからも、変わったのは表現だけと考えるのが自然である。 文書<ISO/TC176/SC2/N474;ISO/DIS9001:2000 移行計画作成の指針, 1999.12>は、 ISO 9001の94年版と2000年版との「主要変更点の分析」の章で、条項毎に差異の要旨を記述しているが、7.4項には触れられていない。変更がないという証拠である。 ◆ TC176は、2003年6月24日付けで5つ目の規格支援文書(ISO9000 Introduction and Support Package) 「"アウトソースされたプロセス"に関する指針(案)」を発表した。これにより、アウトソースと購買を区別することは規格の意図でないことが再度確認された。この情報はこちらから。 |
| H14.7.17(改:H14.12.28, H15.2.19, 4.30, 12.19) |
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