[2000年版] 発見された不適合及びその原因を除去するために遅滞なく処置がとられる
[追補版] 発見された不適合及びその原因を除去するために遅滞なく、必要なすべての修正及び是正処置がとられる
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<変更の趣旨: 意図の明瞭化のための表現の変更>
JIS和訳で「処置がとられる」が、「必要なすべての修正及び是正処置がとられる」と変更された。現行の表現でも「処置」が「修正及び是正処置」であることは明白であるから、「処置」が「修正及び是正処置」に変わったことには特段の意味はない。
変更の趣旨は、英原文で any necessary actions と、 any necessary(必要なすべての)が追加され、これがJISも「必要なすべての処置」と仮訳されたことにある。
規格ではすべての不適合に対して是正処置をとる必要はない。是正処置は不適合のもつ影響に見合うものでなければならず、組織は不適合の原因を特定し、再発防止対策を実施すべきかどうかを判断しなければならない(8.5.2
c)項)。収益事業を営む組織の経営では、すべての不適合に是正処置をとることは適切ではない。従って、同じ規格が内部監査の不適合には必ず是正処置をとる必要を規定するのは矛盾である。これがDISで「必要なすべての修正及び是正処置」という表現で、必要なら是正処置をとるということが明瞭になった。
しかし、これは現行でも、英文は、 actions are taken …to eliminate
detected nonconformities and their cause であり、これを直訳すると「発見された不適合及びその原因を除去する処置がとられる」であるから、発見されたすべての不適合に処置をとるとは書かれていない。
actions to eliminate …は、不定詞の形容詞的用法であり、 to eliminate ….はactionsを修飾する。
「処置(actions)」とはどんな処置か、それは「不適合及びその原因を除去する(eliminate….)」という処置である、というような意味で使われるのが不定詞の形容詞的用法である。
規格のこの条文の意図は、「遅滞なく」是正処置をとることにある。 しかし、JIS和訳は不定詞を副詞的用法に解釈して、「発見された不適合及びその原因を除去するために処置がとられる」としたため、「不適合のすべて」に是正処置をとるという解釈が一般になったのである。 |
<組織、審査への影響: 本質的には大きいが、実際には何も変わらない可能性がある >
不適合のすべてに是正処置をとる必要のないことが明確になったので、不適合なのに“観察事項”として逃げたり、有効な是正処置をとることができない問題なのに是正処置として形式的な事務処理のみ煩雑にするだけの処置をとる、というような問題が解消できる。組織は、発見された不適合を、効果的なマネジメント、或いは、狙いの顧客満足の実現という観点でどのように処理すればよいか、自身で判断することができる。審査の指摘を意識せずに、意味のある内部監査を目指す土台が形成されたと考えられる。しかし、JIS仮訳は、この条文の表現変更を「“処置”の明確化のため、“修正及び是正処置”が追加された」と説明しており、「必要なすべての(any
necessary)」が追加されたことに触れていない。 従って、審査ではこれまで通り、不適合のすべてに修正及び是正処置をとることを求められる可能性が強い。 |