| ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修 |
| 7.5.1項 製造及びサービス提供の管理 | 実務の視点による ISO9001:2000の解説 <その49> |
35-01-49 |
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7.5 製造及びサービス提供 7.5.1 製造及びサービス提供の管理
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1. [7.5.1項]の概要 本項では、製品実現の計画(7.1項)の一環として製造及びサービス提供工程を計画し、その結果の製造及びサービス提供の諸業務を「管理された状態」で行なうことの必要を規定し、また、「管理された状態」であるための要件を規定している。 2. 製造及びサービス提供のプロセス (1) 製造及びサービス提供 本項の「製造及びサービス提供」は、製品実現の一連の諸業務(7.1項)のひとつであり、組織が顧客に提供する製品を直接的に生み出す業務のことを指す。 規格では、製品を ハードウェア、素材製品、ソフトウェア、サービスの4つの種類に類型化しており#3、サービスも製品の一種である。「製造」の原英語は“production”であり、これには日本語では普通、「生産、製造、製作、制作、産出、生成」などという言葉が当てられる(1)。“production”は、有形物である ハードウェア や素材製品のみならず、無形の製品のソフトウェアにも使用される。 例えば、映画の製作、制作、CDの制作、小説の創作などである(4)。 しかし、サービス という製品を生み出すことは“production”ではなく、“service provision”(サービス提供)と表現される。 組織の事業の製品のことを ISO14001は「製品及びサービス」と表現しているが、ISO9001は一貫して「製品」と表現している。 ISO9001の条文で用語「サービス」が登場するのは、本項と次項の「製造及びサービス提供」という表現においてのみである。 すべての業種について用語“product”(製品)で統一している2000年版において、それで押し通すことのできない唯一の例外が、この“production”(製造)に関する表現であり、“production and service provision”(製造及びサービス提供)という表現をもたらした。 「サービス提供」とは、サービスという製品を生み出す活動のことである。 例えば、輸送業では物をある所からある所まで自動車で運ぶということであり、自動車修理業では不良箇所を見つけ修理するということであり、小売業では商品展示、相談から商品を包装して代金を収納する一連の活動であり、料理店業では席への案内から調理、給仕から代金収納、見送りまでの一連の活動のことである。 「サービス提供」の結果が「サービス」であるから、これらの事例のサービスとはそれぞれ、物を移動させること、自動車の機能を回復させること、顧客に商品を入手させること、顧客に食事をとらせることである。 (2) 製造及びサービス提供の工程 製造及びサービス提供の活動は、組織の事業活動の根幹の活動であり、組織の日常業務の中心である。 製品の品質は製造及びサービス提供の活動によって生み出されるから、品質マネジメントにとっても最も重要な活動である。 規格の「プロセス」は、組織内で行なわれる各種の業務(の活動)のことであるが、 製造及びサービス提供のプロセスに関しては「プロセス」は「工程」と呼ぶ方が実務的で理解しやすい場合が多い。 製造及びサービス提供の工程は、製品実現の一連の業務の一部であり、その実行の流れのなかのひとつの工程であるが、一般にこの製造及びサービス提供の工程もまた、相互に関連する複数の工程から成り立っている。 機械工業を含む製造業を主体に書かれていた94年版では、製品を直接的に生み出す活動を「製造、据付け及び付帯サービスの工程」と表現しており#1、更に、これらとは別の活動として「製品の取扱い、保管、保存及び引渡し」の活動を取り上げていた#4。 2000年版では汎用表現となり、これら特定の具体的な活動を名指しで規定することはなくなり、 代わりに、「製造及びサービス提供」という表現で一括している。 そして、この内の組織内での活動を「内部処理」とも呼んで区別し(7.5.5項)、これに引続く製品の「リリース活動」「引渡し活動」及び「引渡し後の活動」(7.5.1 f)項)をも「製造及びサービス提供」活動に含めている。 これに関して規格作成者のひとり(2)は、7.5項が「7.2, 7.3, 7.4項で対応されないすべての製品実現プロセス」を対象としていると説明している。 すなわち、2000年版の「製造及びサービス提供」の業務又は工程は、組織内で製品を生み出し、これを顧客に引渡し又は顧客の使用に供することに直接関係するすべての業務又は工程のことを指す。 これには、試験や検査などの監視測定業務も含まれる。そして、これらの各工程の中には、製品の品質の保存のために「製品の識別、取扱い、包装、保管、保護」という活動が必要となることがある(7.5.5項)。 (3) リリース、引渡し、引渡し後の活動 94年版には、製造に引き続く活動として「製造後の活動(post-production activities)」という概念#15があり、これは製造した製品に係わる活動としての、製品の保管、輸送、据付け、付帯サービス、苦情対応、製品使用成績把握の各活動から成っていた。 2000年版では「内部処理」に引き続く活動として、「リリース」「引渡し」「引渡し後」の各活動が挙げられている。 規格はこれらの活動のそれぞれが何を意味するかを特段に説明していないから、それぞれの原英語の本来の意味で考えればよい。 まず、JIS和訳「リリース」の“release”は、「あるものを保持されていた場所から出す」という意味(4)であり、日本語では「解放(解除、放出、放流)する、放す(はずす、ゆるめる)、公開(発売、公表)する」である(6)。 これは例えば、ハードウェアや素材製品の「出荷」、ソフトウェア製品たる書籍の「発行」、新作映画の「公開」、新版CDの「発売」に相当する。また、修理サービスでは修理済み品を顧客に引渡すことであり、小売業では商品を顧客に対面で引渡すことである。輸送サービスでは輸送先の相手に品物を引渡すことと考えてよいと思われる。 Hoyle氏(3a)は、「リリース活動は、所定のプロセスが完了したか、次の段階又は次のプロセスに移ってよいかどうかを判断する局面で行なわれる」と、リリース活動の意義と特徴をうまく説明している。 次に、JIS和訳「引渡し」であるが、原英語は“delivery”である。 これは「物や手紙を宛先の人々のところに持っていく」という意味であり(4)、日本語では「配達、配送、納品、引渡し、送り届け、発送、送付」などである(6)。 規格の「引渡し」は、製品を顧客の手元に引渡し、顧客の使用に供する活動と理解できる。 「リリース」が製品を組織から外に出すことであるのに対して、出した製品を顧客に渡すことである。 「リリース」と「引渡し」が同時でなく、両者が異なる場所で実行される場合には、両者の間で製品を移動させる活動が介在する。 引渡し活動には例えば、「引渡しの準備としての包装、輸送、通関、目的地での受入れ、開梱」があるとの説明もある(3)。 「引渡し後の活動」は“post-delivery activity”であり、製品を顧客に引渡した後に組織がこの製品の品質ないし顧客満足に関して実行する活動である。 94年版が「付帯サービス」#4として規定していた顧客に納入した製品の補修、設備保全、補給部品供給などの サービス提供活動を含み、製品使用相談、要員訓練、「技術支援、品質保証契約による求償への対応活動」(3)をも含む。 更に、配達、輸送、据付け、試運転を挙げる解説もある(3)(2)。 例えば、顧客の工場で据付け、試運転をして後に製品の機械設備を引渡す契約では、出庫、輸送、据付け、試運転は「内部処理」と見做すことができ、顧客の検収を得ての引渡しとなるから、「リリース」はすなわち「引渡し」でもある。 しかし、家具販売業で家具を購入者宅に運び据付ける契約では、販売して代金決済をした時が「リリース」で、据付けた時が「引渡し」と見做すことができる。 家電販売業で、商品とは別料金で自宅まで配送し、配線、接続する場合は、これらは「引渡し後の活動」である。 多くの小売業では商品の手渡しが「リリース」で「引渡し」であり、両者は区別できない。 接客サービス業ではほとんどの場合、「サービス提供」たる「内部処理」と「リリース」「引渡し」の各活動がすべて同時に行なわれる。 対面であれ電話であれ、言葉や態度を含み要員の顧客応対の行動が サービス提供であり、同時に顧客の要望を処理したという サービスが組織の外に出され、顧客に引渡されている。 規格執筆者のひとり(7a)は、旅客航空輸送サービスにおいて航空機が ゲートを離れることを「リリース」に準えているから、この場合は飛行の提供というサービスが、ゲートを離れた時から飛行中を含み目的地空港のゲートに着くまで、連続して提供され、同時に「リリース」されているという解釈であろう。 組織内の工程である「内部処理」以外の工程には、それ自身が製品の品質、つまり、製品の顧客のニーズと期待に影響するという観点から必要な工程と、製品の品質には直接影響しないが、その活動に対する顧客の受けとめ方を通じて顧客の製品に関する満足に影響を及ぼす工程との2種類がある。「リリース」はほぼ前者、「引渡し」は前者であり後者でもあり、「引渡し後の活動」は後者であることが多いが、必ずしも一定ではない。 また、製造及びサービス提供の諸工程の内で、どこまでが「内部処理活動」で、どこからが「リリース活動」「引渡し活動」「引渡し後の活動」であるか、また、ある製造・サービス提供の業務をどの活動と見做すことがよいのかは、様々な場合で異なる。 解説書でも解釈が異なるところもある。 しかし、実務上、この議論は重要ではない。 問題は製品に顧客満足を得ることであり、「製品に対する品質目標及び要求事項 (7.1 a)項)を満たす製品を生み出し顧客の手に引き渡す一連の流れの活動を、どのような業務又は工程に分けて考え、管理するのが良いかということである。 この観点からは、「引渡し後の活動」を当該製品の「リリース」や「引渡し」の活動とは実質的に独立した別のサービス提供活動と見做すことが好都合であり、事業運営の実態にも近いことが多い。この状況での例えば、製品の補修や設備点検の作業は、修復や保全というサービスを生み出し、引渡すという サービス提供の工程であり、「引渡し後の活動」ではなく、「内部処理」である。 この活動は7.1項(製品実現の計画)以降の要求事項に則って計画され、実行され、管理されなければならない。 3. 製造及びサービス提供の計画 (1) 製造及びサービス提供の計画活動 規格で「計画する」とは、ある事を実行するために前もって手はずを整えること(11)であり、簡単に言うと手順を確立し、必要な資源を用意することである。「製造及びサービス提供を計画する」活動は、製品実現の計画活動(7.1項)の一環であり、定めた製品仕様((7.1 a)項)の製品をどのように製造又はサービス提供するかを決定し、その実行の手はずを整えることである。 実務的には、成約又は受注した製品に関して所定の製品仕様を生み出すための工程設計と、所定の納期と数量を満たすための日程設計を行なうことである。 工程設計では通常、次の事項を決めることが必要である。 (イ) 技術事項: 必要な業務ないし工程とそれらの順番、及び、それらの実行の条件など各業務の方法及び管理基準。 これには、適用する資源、使用する原材料、部品、資材に関する条件、基準を含む。 (ロ) 作業手順: 各業務ないし工程を実行する人々の作業の方法及び許容範囲 (ハ) 検査又は試験: 所定の製品仕様、要件が満たされていることを確認する方法及び合否判定基準 (ニ) 記録: 諸業務ないし工程又は作業の実績と確認した結果に関する必要な記録項目 同じ又は同種の製品を繰り返し、製造又はサービス提供している業態での工程設計は、既存の工程と方法や設備、及び、それらの条件、基準の中から当該製品の製品仕様を最も効率的、効果的に満たすことができるように選択する形で行われる。 カタログ掲載の標準品しか製造しない業態や店舗販売や顧客待ち受け型の業種では、新規商品の開発時、或いは、新サービスの企画の時点で工程設計が行われ、新たに手順を確立し要員や設備を投入する。 プロジェクト型の事業では、成約の都度、新たに工程設計が行なわれる。 後二者の場合でも、既存の工程や方法、設備を活用し、当該製品に対応する条件や基準を設定するという形の工程設計となることが多い。 工程設計で決定する工程条件の高度さや実行管理条件の厳密さは、製品の検証で発生する不適合製品による損失の大きさと均衡のとれたものであることが大切である。 同じことは、適用する製品の監視測定の方法についても言える。 製品の検査や試験など製品の検証の方法と厳密さは、その手間や コストが出荷又は引渡す製品の品質の信頼性と均衡する程度であることが望ましい(7b)。 工程設計の業務が複雑で長期間かかり、製品の試作評価が必要であり、或いは、関係者が多い場合などは、工程設計活動が間違いなく所定の結果を期限内に出すことを確実にするために、工程設計の手順に規格の設計開発活動の手順(7.3項)を適用ないし活用することが効果的である。 日程設計は、製品の納期を満たすことが目的であるが、製造又はサービス提供を初め関連業務の要員や設備能力からくる制約を加味して行われる。また、実務においては、職場に配置されている要員や設備を遊ばさないという観点が、所定の納期の達成と同程度に重要である。プロジェクト型事業を別にして多くの事業では、日程設計は業務又は工程に関して行われ、要員や職場に対する業務の割り当て、或いは、業務実行指示となる。 (2) 製造及びサービス提供の計画活動の結果の妥当性 工程設計の結果の工程条件は、それに基づいて製造及びサービス提供を実行すれば間違いなく所定の製品仕様の製品が得られるものでなければならない。 規格では、「有効性(effectiveness)」は、ある活動が所定の結果をどの程度達成したか#6であり、ある事の目的達成に関する有効性は「妥当性(validity)」と呼ばれる。 確立した手はずが所定の製品を実現できるかどうかの観点での有効性は、製造及びサービス提供の計画活動の結果の妥当性である。 妥当性を客観的証拠によって明確にする活動は「妥当性確認」#5であり、製品の試験や検査が出来ない場合の品質保証としての「妥当性確認」のあり方は、別途「プロセスの妥当性確認」として規定されている(7.5.2項)。 決定した工程条件が妥当なものかの確認の方法や厳密さは、妥当でない不適切な工程条件で製造又はサービス提供をした場合に発生する不適合製品による損失の大きさと均衡のとれたものとすることが望ましい(7c)。 同種の製品を繰返し製造及びサービス提供する業態で、一定の範囲の製品仕様を包含する工程設計の基準が確立し、これに基づき新規な製品に対する工程設計を行なう場合には、この手順の順守の確認と責任者による承認が、結果の工程条件が妥当なことの確認になる。 特に重要な場合、或いは、工程設計結果に客観的信頼性が薄い状況の場合には、実験室での模擬製造や試作製品の特性の評価、量産試作での工程能力の調査、サービス提供試行による評価などの方法が必要になる。 規格では、製品の試験や検査を行なことができないような場合は、当該品質に影響する工程は「プロセスの妥当性確認」が必須である(7.5.2項)。 4. 製造及びサービス提供の実行管理 (1) 製造及びサービス提供工程の実行管理 個別の製品の製造又はサービス提供活動において、常に所定の製品仕様の製品を得て顧客に引渡すために、製造及びサービス提供工程は計画活動の結果に則って、或いは、定められた工程条件で実行されなければならない。 これを確実にする管理の活動が、製造及びサービス提供の実行管理業務である。 この業務実行管理には、日程設計の結果の業務実行の時間的な又は日程的な要素、及び、数量や規模の要素も含まれる。 要員の作業、設備の作動、購入物品やサービスの品質などいずれに起因するにせよ、業務の実行にはばらつきや誤りが付きものであるから、製造及びサービス提供の計画活動で定める工程条件には許容範囲が明確にされていなければならない。 この許容範囲は実務では管理基準とも呼ばれ、2000年版規格では「判断基準(criteria)」(4.2.1 c)項)又は「合否判定基準(acceptance criteria)」である。 業務実行管理において、定められた工程条件で業務が実行されているかどうかは、この許容範囲を基準として評価、判断される。 業務実行管理は、一貫した業務実行の確保が目的であるが、一貫した業務実行が必要なのはそれが製品の品質と適合性の安定確保に繋がるからである。 製品の管理だけで製品の適合性が安定して確保できる場合も少なくない。 逆に、製品の品質保証や適合性の安定確保のために、業務実行管理を確実に行なうことが必須の場合もある(7.5.2項)。 業務実行状況の管理は、その手間やコストと製品の品質と適合性の安定確保に対する効果と均衡する方法や程度であることが望ましい。 製造及びサービス提供活動が効果的に行なわれるためには、製造及びサービス提供工程の諸業務が定められた通りに実行されるだけでは十分ではない。 製造及びサービス提供工程と繋がりのある他の諸業務も定められた通りに実行されることが必要であり、製造及びサービス提供工程にはこれら関連業務との接点の業務が含まれていなければならない。 製造及びサービス提供工程と日常的に直接的に繋がっている業務には一般に、製造及びサービス提供ニーズの受取り (7.2項)、製造及びサービス提供工程で使用する物品やサービスの発注受入れ(7.4項)、発生した不良品の処置(8.3項)の各業務がある。 この他にも製造及びサービス提供工程との接点を明確にすべき業務には、資源の調達業務(6章)、文書や記録の管理業務(4.2項)、設備保全業務(6.3項)、作業環境保全業務(6.4項)、監視測定機器管理業務(7.6項)、設計開発業務(7.3項)がある。 これら接点業務には、業務の受払いの手順を確立して関係部門間で合意しておくこと(4.1 b)項)が必要なものから情報伝達の枠組み(5.5.3項)に委ねることでよいものまでがある。 (2) 管理された状態 業務実行管理では、まず、定められた工程条件で間違いなく諸業務が行なわれるような状態を確立し、維持することが必要である。 これには一般に、次のことが確実になっていなければならない。これを確実にする管理が、業務実行管理の基礎である。 @ 各業務の実行の手順が定められており、 A 定められた業務遂行力を持った要員が配置され、 B 定められた設備が使用可能な状態にあり、 C 外部から提供を受ける物品(原材料、半製品、部品、資材等)、及び、サービスが使用可能な状態にあり、その上で D 実行すべき業務とその手順が、関係する要員に伝達されている又は知ることができるようになっていること。 規格では一般に、計画活動(planning)の結果である業務実行の手はず、或いは、手順と資源で代表される業務実行の体制、枠組みを「計画された手はず(planned arrangement)」と表現する。 これに則って所定の結果を出すように業務を行なうことは、プロセスや システムを「効果的に実施する(英文は一般に受動態で、be effectively implemented)」と表現される。 計画活動により適切な手はずが整えられても、それに則って業務が行なわれない限りは所定の製品仕様の製品を得ることができない。 これは業務が「効果的に実施」されていないということである。 所定の手はず、つまり、定められた工程条件に則って効果的に業務が行なわれることを確実にする状態が「管理された状態」である。 (3) 監視測定 諸業務が定められた工程条件で実行されることを確実にする業務実行管理の手段として、業務実行状況の監視測定を行なうことが必要である。 これは、製造及びサービス提供のPDCAサイクルのP(計画活動)、D(管理された状態で実行)に続くC(監視測定)である。 規格では「プロセスの監視及び測定」(8.2.3項)である。 ここに、「監視(monitoring)」は「観察、監察、監視下におくこと、又は、一定時間間隔で測定又は試験すること(特に規制や制御の目的で行う場合)」であり、「測定(measure)」は「あるものの空間的大きさ又は量を確定又は決定すること、又は、寸法や容量が既知のものを適用するか又は一定の単位物と比較することによって確定又は決定すること」である(11)。 規格の「特性」の定義#16に従うと、特定の工程条件がどのようなものであるかを表す指標は「プロセスの特性」である。個々の作業の方法や工程の温度や時間、加工速度などはプロセスの特性の種類であり、「工程パラメーター(process parameter)」#13とも呼ばれる。 製造及びサービス提供工程の業務実行状況は工程パラメーターで表される。 業務実行の監視測定では、計画活動により定められた工程パラメーター を定められた方法で監視又は測定し、監視測定の結果は、同じく計画活動で定められている工程パラメーターの許容範囲、つまり、判断基準」ないし「合否判定基準」に照らして、良否や合否が評価される。 しかし、業務が工程条件を満たして行なわれているかどうかは、当該業務の実行結果が所定の結果を実現している度合い、つまり、得られた製品が定められた製品仕様の合否判定基準を満たしている程度を評価することによっても判断することができる。 中間工程ならそこまでで得られる中間製品の特性、また、工程全体なら最終製品の特性を試験や検査で測定することで、それら工程の業務実行状況の良否や合否を知ることができる。 製造及びサービス提供工程の業務実行管理のためにいずれの監視測定を行なうかは、各監視測定の活動の手間やコストと、製品による評価の工程の実行状況監視測定に対する有効性とを勘案して決めることが大切である。 (4) 業務実行能力の改善 業務実行管理が行なわれる場合には一般に、一貫した業務実行の確保の観点からだけでなく、製品の適合性の確保の観点からも行なわれる(2)。 いずれの観点の業務実行管理も、管理で抽出した問題を解決して、業務実行能力の向上、或いは、製品品質の向上をもたらす。 業務実行管理は改善の活動でもある。 すなわち、一貫した業務実行を図るための業務実行管理は、工程能力の向上と不適切な業務実行の防止に焦点が当てられる。 工程能力向上は、業務実行状況の監視測定データを分析して(8.4項)、より効率的で、精度良く安定した業務実行に向けて業務の手順や方法、要員の能力を含む資源を改善することによって進められる。 不適切な業務実行の防止は、監視測定データの分析(8.4項)と再発防止対策(8.5.2項)を通じて、不足する知識と技能、認識(6.2.2項)など資源の充足と、いわゆる ポカミス防止のための作業、設備の改善や教育訓練手順や業務実行管理手法の改善により進められる。 また、製品の適合性確保を目的とする業務実行管理では、業務実行状況の監視測定データを分析して、予想される製品不適合発生の未然防止が図られ(8.4 c)項)、また、工程能力の向上を製品の顧客満足向上や不適合製品発生の減少に活用する。 5. 規格要求事項とその真意 94年版では、4.9項に標題「工程管理(process control)」の下に、機械工業を主とする製造業の実態を模して要求事項が規定されていたが、2000年版では、あらゆる業種に適用する汎用規格という規格の性格から表現が一般的、抽象的なものとなっている。 これに関して規格執筆者のひとりは、要求事項が簡素化されたように見えても趣旨には大きな変化はなく(9a)、例えば製造業が94年版の要件を緩和してよいということではないと明言している(9b)。 2000年版では、94年版 4.9項の内のいわゆる「特殊工程」に係わる工程管理の要求事項は、別の条項7.5.2項(製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認)に分けて、表現を変え、かつ、より詳細に規定されている。 また、94年版に「管理された状態」の要件として規定されていたa)〜g)の7項目の要求事項であるが、 b)項の一部(適切な作業環境)と g)項(設備の適切な保全)は資源マネジメントの一環として6.4項、6.3項に、また、e)項(工程及び設備の承認)は7.5.2項に、それぞれ移動した。 この他は、表現を変えて2000年版の「管理された状態」を構成している。 ISO9001規格は、顧客のニーズと期待を満たす製品を一貫して供給することを図る品質マネジメントの規格であり、製造及びサービス提供工程の実行管理も、所定の製品仕様の製品を確実に実現し引渡すことに関してしか規定されていない。しかし、実際の組織の マネジメントや業務実行管理は、品質だけでなく、利益、コスト、能率、安全、環境、法順守など事業目的の達成に必要な様々な観点で行なわれる。 本項に関連する組織の工程設計や日程設計と業務実行の管理は、規格の要求事項を満たすだけでなく、組織が必要とするすべての観点と要件を踏まえて行なわれなければならない。 例えば、製造又はサービス提供の手順や管理基準は品質を含む組織のすべての、時に相互に矛盾する必要を考慮した、組織として最適なものであることが必要であり、規格の意図である。 (1) 製造及びサービス提供を計画する [第1節 第1文前半] 「製造及びサービス提供」は、所定の製品仕様の製品を生み出し、顧客の用に供するまでの直接的な活動を指す。 この活動は、組織内部の活動としての「内部処理」(7.5.5項)と「リリース、引渡し及び引渡し後の各活動」から成る。また、「プロセスの監視及び測定」(8.2.3項)と「製品の監視及び測定」(8.2.4項)の活動を含み、関連する製造及びサービス提供工程以外の業務との接点の活動も含む。 「製造及びサービス提供を計画する」とは、個々の製品について、顧客のニーズと期待を満たすと判断して決定された「製品に対する品質目標及び要求事項」(7.1 a)項)を満たす製品を効果的に、効率的に製造又はサービス提供する手順を確立し、必要な資源を用意することである。 これは、製品実現の計画活動(7.1項)の一環である。 組織の製品実現の計画活動の手順には、製造及びサービス提供工程の計画活動をいつ、誰が実行し、製造及びサービス提供工程の実行と管理に関して、何と何を、何に基づいて判断し、決定し、その結果を何にどのように表すかの手順が含まれていなければならない。また、この製造及びサービス提供の計画活動の手順には、計画活動の有効性を評価し、承認する手順が含まれていなければならない。 計画活動の要件は、品質マネジメントシステム の「一般要求事項」及び「製品実現の計画」の要求事項として、それぞれ4.1項、7.1項)に規定されている。 4.1項によると、個々の製品の製造及びサービス提供を計画するとは、次のことである。 @ 所定の製品仕様を実現するのに必要な諸工程を特定し( a)項)、 A それらの順序と相互関係を決め(同 b)項)、 B それら各工程の業務の実行の方法及び管理の基準を定め( c)項)、 C 各業務の実行管理のための監視測定の方法を定め( e)項)、そして、 D 諸業務の実行と管理に必要な資源と情報を用意し利用できるようにする( d)項) また、7.1項によると、製造及びサービス提供の計画活動は、次のように行なわれなければならない。 @ 各工程の業務の実行と管理の手順を確立し( b)項)、 A それらの手順を必要により文書化し( b)項)、 B 要員に必要な業務遂行力を明確にし、不足する場合は充足し( b)項)、 C 使用すべき設備(監視測定機器を含む)を明確にし、不足する場合は充足し( b)項)、 D 実施すべき製品の検証、プロセスの妥当性確認、及び、そのための監視、検査、試験、並びに、製品の合否判定基準を決定し( c)項)、 E とるべき記録を明確にする( d)項) 計画活動の結果の製造及びサービス提供の手はずは、所定の製品仕様の製品を間違いなく生み出し、引渡すことを可能とするものでなければならない。 計画活動の結果の有効性の確保の必要を直接的に規定する条文は見当たらない。 しかし規格は、あらゆるプロセスにPDCAサイクルを適用するプロセスアプローチの考え方に立っており、「計画する」という要求事項がその結果の適切さの確認の必要を含蓄している。 また、すべての計画活動を包含する品質マネジメントシステムの計画に関して「品質目標を満たすように計画活動が実行される*」こと(5.4.2 a)項)と規定し、規格の計画活動の結果が定められた目標を満たすものでなければならないということを明確にしている。 製造及びサービス提供の計画活動の品質目標は、所定の製品を実現する手はずを整えることであるから、計画活動の結果で確立した手はずには、所定の製品を間違いなく実現する能力がなければならない。 規格では目的達成に関する有効性は「妥当性(validity)」と呼ぶから、計画活動の結果が所定の製品を実現するという観点での有効性は、定めた製造及びサービス提供工程の手はずの妥当性妥当性である。 規格では、これを客観的証拠によって評価し明らかにすることを「妥当性確認」#6と呼び、計画活動の結果の特定の業務に関する手はずについて実施しなければならない「プロセスの妥当性確認」の要求事項を規定している(7.5.2項)。 計画活動で定めた手はずの妥当性の評価と承認の方法と程度は、当該製品の重要性と工程の難易度、製品の試験や検査の有効性に応じたものとすることが大切である。 (2) 製造及びサービス提供を管理された状態で実行する [第1節 第1文後半] 製造及びサービス提供工程で所定の製品仕様の製品を確実に生み出し顧客に引渡すためには、妥当性が評価され承認された製造及びサービス提供の計画活動の結果に則って、その諸業務を実行しなければならない。 それには、所定の手はずに則って効果的に業務が行なわれることを確実にする状態、つまり、「管理された状態」を確立し、維持することが必要である。 この「管理された状態」とは、次のa)〜f)項の要求事項が満たされている状態である。組織は、a)〜f)項の状態をつくり出し、維持することが必要であり、間違いなく維持されるように管理しなければならない。 規格は、「該当する次の状態を....」と記述することで、すべての組織が、a)〜f)項の要求事項のすべてを満たさなければならないということではないことを明確にしている。 規格執筆者のひとり(9a)によると、本項には94年版の4.9項(工程管理)の要求事項のすべてが記載されておらず、また、「管理された状態」のためのすべての要求事項が記載されている訳でもない。 これは、規格内で同じ要求事項の重複した記述を避けるためであり、従って、管理された状態であるためには、文書化(4.2項、7.1項)、監視測定(8.2.3項, 8.2.4項)、資源マネジメント(6章)など他の条項に規定されている要求事項も満たさなければならないと説明している。 (3) 製品の特性を述べた情報が利用できる [箇条書 a)項] 規格で「特性」とは、「際立った特徴」と定義され#8、その特徴に関係する指標で表わされる。「製品の特性」とは一連の指標で表された製品の特徴のことであり、それら指標によって当該製品がどのようなものであるかを具体的に表す。 本項の「製品の特性」とは、製造及びサービス提供工程で生み出す製品がどのようなものでなければならないかという意味での製品仕様のことである。これは、製品実現の計画で決定された「製品に対する品質目標及び要求事項」(7.1 a)項)のことである。 組織で製造及びサービス提供工程に係わるそれぞれの要員、或いは、部門、職場では、その時点でどのような製品を生み出すことに携わっているのか、その時点の業務で実現すべきものは何か、が正しく理解されていなければならない。 「製品の特性の情報」と規定されているが、当該製造及びサービス提供工程で実現すべき半製品又は最終製品の仕様の情報だけでなく、関連する業務の手順や利用する資源が何であるか、つまり、作業方法や管理基準に関する情報も含まれると理解すべきであろう。 これらに関連する必要な情報は、それらを必要とする時点で、必要とする各工程の要員或いは部門、職場に伝達され、知られていなければならない。 関係者が少数で、情報が簡単な場合などでは責任者による口頭指示でもよいが、多くの要員、部門、職場が関係しており、その時点でそれぞれに実行すべき業務が異なり、伝達する情報が複雑であったり、要員の記憶に頼ることが不適切な内容であったりする場合は、この情報は文書化されていることが必要である(4.2.1 d)項)。 また、文書の該当部分が必要な要員の使用に供され、又は、要員が必要に応じて必要事項を参照できるような状態になっていなければならない(4.2.3 d)項)。 これらの文書には、製品図面、製品仕様書、業務実行指示書、現品見本、受付伝票など製品に関するもの、及び、組立図、部品表、サービス明細書、手順書など業務実行に関するものが考えられる。 この情報がないか、又は、活用できなければ、製造及びサービス提供工程の諸業務は始まらない。或いは、定められた手順や資源を無視して製造及びサービス提供がばらばらに行なわれるという無管理状態にもなり得る。 94年版4.9項のf)項(作業の出来ばえ基準)について、「製造要員は作業実行の基礎として製品の見本又は詳細な記述を持っていなければならない」と説明する解説もある(9)から、本a)項はこれを引継ぐものと考えられる。 一方、本a)項が「情報が利用できるようにしなければならない」との表現で、情報が示す所定の手順と資源に則って業務を行なうべきことを示唆しているから、94年版のc)項(基準/規則、品質計画書、手順書への適合)を引継いたものとも理解できる。 (4) 必要に応じて、作業手順が利用できる [箇条書 b)項] JIS和訳では「作業手順」となっているが、この原英語は“work instruction”であるから、「作業指示」かそれを文書化した「作業手順書」のどちらかに和訳するべきである。 すなわち、“instruction”は「指示、指図、命令、訓令、指示通達」である(6)が、指示や説明を記述する文書という意味でも使われ(10)、この場合は「指図書、指導書、手引き書、指南書」などと和訳されている(6)。 従って、“work instruction”は、一般には「業務指示、作業指示」の意味であろうが、「作業要領書、作業手順書」の意味にもなる。 実際、インターネットでは“work instruction”が作業手順を規定する文書という意味で使われている事例に事欠かない。 また、規格では、“work instruction”は「任務をどのように実施し、記録するかについて詳細に記述した」文書#9を指す。 品質マネジメントシステムの手順を規定する「手順書(documented procedure)」が、主として部門横断的な業務の手順を定めているのに対して、この文書はそれらの作業内容の詳細を規定する文書であり、文章で記述したものだけでなく、フローチャートで表したもの、図面や図面に記入した技術メモ、見本、写真、チェックリスト#10など多様な形をとるとされている。 「作業指示*」のすべては文書化する必要はないが#11、文書化しておかないと「悪影響が発生する可能性のある仕事の全てについて」は「作業手順書*」を作成することが必要である#12。 所定の製品仕様の実現のためにとりわけ重要な作業、また、複雑な作業、間違いを冒し易い作業については、作業の方法と基準の詳細を規定した「作業手順書*」を、要員が利用できるようにしておかなければならない。本b)項は、94年版4.9 a)項#1の「手順書がなければ品質に有害な影響を及ぼす可能性のあるものについて、製造、据付け及び付帯サービスの方法を明確にした手順書」を用意しなければならないとする要求事項に相当すると理解される。 本b)項は、作業手順のすべては文書化する必要がないということを示唆し、同時に、作業の手順を文書化した上で実際の作業で要員に参照させ、活用させることが、製造又はサービス提供の効果的実行を図る管理の手段として重要であることを明確にしている(3b)。 また、本b)項は、文書化が「プロセスの効果的な管理を確実に実施する」ために必要であり(4.2.1e)項)、必要な文書が「必要な時に、必要なところで使用可能な状態にあること」を確実にしなければならない(4.2.3 d)項)とする、文書化と文書管理の汎用的要求事項が具体的な状況に適用されている事例でもある。 (5) 適切な設備を使用している [箇条書 c)項] 「適切な」は“suitable”であり、「特定の目的や状況に対して正しい」の意味(4)である。 日本語としては「ある状態や目的などにほどよくあてはまる」ことを意味する「適当な」(8)の方がよい。 設備には製造又はサービス提供工程のそれぞれ特定の機能を担わしめるのであるから、各設備はそのような機能や性能をもった設備でなければならない。 製造及びサービス提供の計画活動における工程設計では、どのような設備をどのような条件で使用するかを決めており、これにより間違いなく必要な製品仕様を得ることができることを確認している。 製造及びサービス提供の管理では、個々の製品に対して使用することを決められた設備が間違いなく使用されるようにしなければならない。 ここでは「設備(equipment)」と表現されているが、広く物的資源の意味であり、規格の表現の「インフラストラクチャー」(6.3項)のこと理解しなければならない。 ただし、要求事項の表現上では、適当な監視測定用の機器の使用については、次のd)項に含まれていると解釈するのが一般的である。 94年版4.9項#1は、管理された状態での業務実行であるための設備に関係する要件として、「適当な*設備の使用」(b)項)、「必要に応じての設備の承認」(e)項)、「工程能力を継続的に維持するための、設備の適当な*保全」(g)項)を規定していた。 この内、e)項はいわゆる「特殊工程」#1に関係する規定であり、2000年版では「プロセスの妥当性確認」の要求事項として7.5.2項に、g)項は資源マネジメントの一環の活動として6.3項に、それぞれ表現を変えて規定されている。 本c)項は、94年版のb)項に対応する規定である。 JIS和訳が「適切な」設備の使用となっているので、所定の機能や性能を維持された設備というように受けとめられがちであるが、規格の意図は「定められた設備」を使用するということである。 (6) 監視機器及び測定機器が利用でき、使用している [箇条書 d)項] ここのJIS和訳「監視機器及び測定機器」は、7.6項の標題と同じく“monitoring and measuring devices(監視及び測定の手段)”である。 規格の英原文では、監視及び測定のため“device(手段)”と“equipment(機器)”を使い分けている。 前者は、目視、嗅覚など人の五感や、データの計算や分析による監視測定をも含む広くすべての監視測定の手段を意味し、後者は前者の一部であり、いわゆる計測器のことである。 設備に関する先のc)項と違って、どのような「監視機器及び測定機器」かが規定されていないが、意図は変わらない。 すなわち、製造及びサービス提供の計画活動で定められた通りの「適当な*」監視測定手段の意味である。 定められた監視測定手段が使用できるようになっており、間違いなく使用されるように、製造及びサービス提供工程の業務の実行が管理されなければならない。 ここに、必要な監視測定の手段の選定及びその機能、性能の維持管理に関する要件は、7.5項(監視及び測定手段の管理*)に規定されている。 この要求事項は94年版では、4.6 b)項の「適切な設備の使用」に含まれていたと理解される。 (7) 監視及び測定が実施されている [箇条書 f)項] 94年版では、「適当な*工程パラメーター及び製品特性の監視」(4.9 d)項)と具体的であったが、本f)項は、監視及び測定の実施の必要を規定しているだけで、監視測定の目的や実施の要件は規定していない。文脈からd)項の「監視機器及び測定機器」を使用する「監視及び測定」であり、製造及びサービス提供の計画活動で定められた監視測定の実行という意味である。 JIS和訳は英原文に存在しない「規定された....」を挿入して、これを明確にしている。 PDCAサイクルに依拠する規格では、品質マネジメントシステムの全体(5.4項)と製品実現の諸業務(7章)の両方のCを合わせて8.2項(監視及び測定)に、監視測定が必要な対象とそれぞれの監視測定に関する要件を規定している。 この内、所定の製品仕様の製品を製造及びサービス提供するために必要な監視測定は、「プロセスの監視及び測定」(8.2.3項)と「製品の監視及び測定」(8.2.4項)である。 管理された状態で製造及びサービス提供工程の業務が実行されるためには、定められた監視測定が、間違いなく行なわれるようになっており、行なわれていなければならない。 (8) リリース(次工程への引渡し)、顧客への引渡し及び引渡し後の活動が実施されている [箇条書 g)項] 「リリース」にはJIS独自の括弧つき注釈「次工程への引渡し」が付されているが、ここでは組織内部での製造及びサービス提供工程の業務である「内部処理」に引き続いて、内部処理の結果を組織から外に出す活動であり、有形製品の出荷やソフトウェア製品の発行、発売などを意味すると解釈される。 リリース活動に引続き、製品を顧客の手元に引渡すための活動が「引渡し」活動であり、例えば、商品の手渡し、配送、輸送、機械の据付けなどである。 製品によってはこの両活動は同時に行なわれ、また、内部処理とこれらが同時に行なわれる場合もある。 「引渡し後の活動」は、顧客の手元に渡った製品に対するサービス提供活動である。 引渡した製品に顧客の所定の満足を得るためには、内部処理で所定の製品仕様の製品を間違いなく実現するだけでは十分ではない。 第一に、内部処理後から顧客の手元に渡るまでの製品品質の毀損、劣化を防ぐことが必要であり、第二にその過程の リリース活動や引渡し活動を顧客のニーズと期待を満たして実行することが必要であり、第三に所定の機能、性能を発揮するように顧客が入手した製品を使うことが出来なければならない。 後二者は、製品の品質とは直接関係ないが、それらに対する顧客の受けとめが製品に対する満足度に影響するからである。 これら活動が顧客との契約又は合意である場合、また、組織が必要と考える場合は、これら活動を製造及びサービス提供工程の中に含めて、管理された状態で実行しなければならない。 管理された状態であるために、これらの活動も、本項のa)〜e)の要求事項を満たして実行されることが必要である。 引用規格条項 #1 ISO9001:1994, 4.9; #2 ISO9001:1994, 4.19; #3 ISO9000, 3.4.2参考1.; #4 ISO9001:1994, 4.15; #5 ISO9000, 3.8.5; #6 ISO9000, 3.2.14; #7 ISO8402:1994, 3.3; #8 ISO9000, 3.5; #9 ISO/TR10013:2001, 3.1; #10 ISO/TR10013:2001, 3.1 備考2.; #11 ISO/TR10013:2001, 3.1 備考1.; #12 ISO/TR10013:2001, 4.6.1; #13 ISO9001:1994, 4.9 d); #14 ISO9001:1994, 4.11; #15 ISO9004-1:1994, 16; #16 ISO9000, 3.5.1 引用文献 (英文献及び 文中の* 印は著者による翻訳) (1) ED五抂餅:英ォ郎、PDIC for Windows (2) C.MacNee他: Transition to ISO9001:2000, BSI Publications,2001;p.39 (3) D.Hoyle: ISO9000 Quality systems Handbook,Butterworth-Heinemann,2001;a-p.488,b-p.480 (4) Oxford Advanced Learner’s Dictionary, Oxford University Press (5) ED五抂餅:英ォ郎、PDIC for Windows (6) 海野文男他: タ用英語大辞典、日割P深完ツ、1998.6.26 (7) C.A.Cianfrani他: ISO9001:2000 Explained,ASQ Quality Oress,2001; a-p.122, b-p.123, c-p.130 (8) 新村 出: 広ォ苑、第3版、岩波書店、昭58年12・日 (9) L.R.Beaumont: The Standard Companion, ISO Easy,1996;p.21 (10) die.net: Online Dictionary, http://dictionary.die.net (11) ISO/TC176: ISO9001/9004:2000の用語に関する指針、N526R (12) 吉田和夫他: 基本経営学用語辞典、同文館、H6.3.3; p.85 |
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