| ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修 |
| 7.3.6項 設計・開発の妥当性確認 | 実務の視点による ISO9001:2000の解説 <その44> |
35-01-44 |
7.3.6 設計・開発の妥当性確認
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1. [7.3.6項]の概要 本項は、設計開発活動における妥当性確認が、設計開発活動の結果の製品が実際の使用環境で機能し、問題を起こさないことを確実にするための手段であることを明確にし、そのような妥当性確認についての要件を規定している。 2. 設計・開発の妥当性確認 (1) 妥当性確認 この原英語は validationであり、「真実であることを実証する」「法的に有効なものとする」「有用又は許容範囲内であることを公式に明らかにする」という意味である(1)。 7.4.5項の verification(検証)が「真実であるかどうかを調べる」「真実であることを示す又は述べる」という活動である(1)ことに比較して、validationでは有効とか有用という観点に焦点が当てられている。 産業界においてこのvalidationとverificationとは対をなす用語として、計算機のソフトウェア開発初め、医薬品、医療機器、航空機の分野、更には最近の温暖化ガス排出取引制度などで広く用いられている(2)。 この場合、verification が 仕様を満たしているかどうか、validationが目的に適っているかどうかを評価する活動に関して、それぞれ適用されている。 規格の「妥当性確認」は、「客観的証拠を提示することによって、『特定の意図された用途又は適用』に関する要求事項』が満たされていることを確認すること」であり#1、「検証」の定義との違いは、この『…用途又は適用…要求事項』が「検証」では『規定された要求事項*』であることだけである#2。 規格の定義でも、「検証」が定められた仕様に対する適合性、「妥当性確認」がその仕様の目的に対する適合性を「確認する」ことと、両者を区別している。 但し、「確認する」の原英語の confirm は、「(とりわけ証拠の提示により) 確かに真実であり又は正しいということを述べ又は示す」という意味(1)であり、規格では「公式合意によって有効なものとする」ことと定義(3)されている。 「妥当性確認」とは、客観的証拠によって物事の目的に関する必要を満たしていること、或いは、目的に適っていることを明らかにすることであるから、“妥当性の明確化”の意味である。 明確にされた妥当性は組織として認め、権威ある事実となる。 (2) 設計開発活動における妥当性確認 JIS標題「設計・開発の妥当性確認」は英原文ではdesign and development validation という文法上の群名詞であるから、「設計開発活動における妥当性確認」という意味である。 規格執筆者のひとり(4)は、設計開発活動における妥当性確認とは設計開発の結果の製品が実際の必要を満たして機能することを明らかにすることであると説明している。 また、もうひとり(5a)は、検証が「要求事項との整合性」を取り扱うのに対して、「明確にされた顧客のニーズとの整合性」を取り扱う活動であるとして妥当性確認の特徴を説明している。同氏によると、設計開発活動における妥当性確認は、設計開発活動が当該製品の用途に関する要件を満たすことができることを確実にするために行なわれる。この妥当性確認は、94年版#3で取り入れられた概念と要件であるが、これは、計算機の ソフトウェア 分野では「計算機の奥深いところで起きる不思議な相互作用」がしばしばあり、特にこの分野に必要な設計開発活動の要素であると考えられたからである(5b)と説明されている。 妥当性確認の定義の「特定の意図された用途又は適用に関する要求事項」という表現が、製品仕様を決定する際の「規定された又は意図された用途*に応じた要求事項」という表現(7.2.1 b)項)と類似しているが、後者の製品仕様が満たされているかどうかを評価し明確にすることが妥当性確認であるということではない。 どのような設計開発でも、その製品の用途や使用のされ方はそれなりに決まっており、それに関連する必要事項はすべて設計開発条件としての製品仕様の目標(7.3.2 a)項)に含まれていなければならない。 妥当性確認の目的は、製品の使用又はサービスの引渡しの結果、想定できなかった問題がその使用や引渡しの環境との相性との関係で起きてしまうというようなことを防ぐことである。 製品寿命のような特性も製品の使用環境に大きく影響されるが妥当性確認の対象ではない。製品の使用環境を想定しその中で必要な製品寿命が達成されるように、それらの要件を設計開発条件に組入れて、それを実現する製品の構造特性を明らかにするのが設計開発活動である。 設計開発した製品が目標製品寿命を有するものかどうかを評価し明らかにする活動は、規格では「設計開発活動における検証」(7.3.5項)である。 妥当性確認は、所定の使用環境における予想できるあらゆる製品特性の必要を設計開発活動で実現し、そのことを検証(7.5.5項)した上で、それでも実際に製品を使用し又はサービスを引渡した時に別の予期しない問題が生ずることはないかを検討することが目的である。妥当性確認によって問題が生じる可能性を特定し、必要な設計開発上及び顧客側の処置を決定し、又は、実行しなければならない。すべての必要事項が設計開発条件としての「規定要求事項」に織り込まれるなら、設計開発活動の結果(7.3.3項)は検証(7.3.5項)するだけでよく、論理上は妥当性確認は不要である。 設計開発活動では妥当性確認は、通常は設計開発活動の結果の製品について実施する#4が、部品の設計開発など各段階の結果の製品についても必要により実施される。 また、「妥当性確認」は、その設計開発活動の結果が検証(7.3.5項)に合格した後に、当該製品の使用条件の下で#4で実施することが大切である。 具体的には実際の使用環境或いは模擬環境での試験や試行、機械の納入後の総合試運転、ソフトウェアの実機確認試験、試験販売、見本提供などの方法がある。 3. 規格要求事項とその真意 (1) 計画した方法に従って、設計・開発の妥当性確認を実施する [第1文] 設計開発活動の結果の製品が顧客に使用され又はサービスが引渡されて万が一にも、顧客が管理する環境の中で所定の性能や機能を発揮せず、或いは、当該製品が同じ環境にある別の何かに障害を与えるなど問題を発生させることがあってはならない。 組織は設計開発する製品の目標の性能や機能のみならず、その使用又はサービス引渡しやその後に関係する必要な事項をも十分に考慮して設計開発条件を決めなければならないが、設計開発した製品が実際に使用又はサービスを引渡してから想定外の問題を発生させることのないことを、客観的証拠でもって明確にすることが必要である。 この妥当性確認をどの段階で、どのような方法で行なうかは、設計開発の計画(7.3.1項)で定めておくことが必要である。 JIS和訳「計画した方法に従って」の原英文は 7.3.5項と同じであり、同項と同じく「計画された通りに」の意味である。 妥当性確認によって問題が生じる可能性を特定し、必要な処置をとらなければならない。 (2) 実行可能な場合にはいつでも、製品の引渡し又は提供の前に、妥当性確認を完了する [第2文] 「実行可能な場合」はwherever practicableであるから「可能な限り」の方が適切であり、「製品の引渡し又は提供」はdelivery or implementation of product であるから「製品の引渡し又は使用開始」の意味である。 妥当性確認は可能な限り、製品の顧客への引渡し前、又は、顧客が製品を使用する前に行なうことが必要である。 (3) 妥当性確認の結果及び必要な処置の記録を維持する [第3文] 使用した データ などの情報を含む「妥当性確認」の結果の記録は、検証の記録(7.3.5項)と同様、次の設計開発活動に対する技術的引き継ぎであり、設計開発活動の方向づけのための「レビュー」の重要な材料である。 また、これらと妥当性確認で判明した問題点と問題解決のための処置の記録も以降の製品使用で生じる品質問題への対応の基礎となる。これには、妥当性確認の方法、問題の改善のための設計開発上及び顧客側の処置、及び、それらの決定や実行の結果などが含まれる。これらのうち必要な事項の記録は、一連の設計開発記録として維持、管理しなければならない。 引用規格条項 #1 ISO9000, 3.8.5 #2 ISO9000, 3.8.4 #3 ISO9001:1994, 4.4.8 #4 ISO9001:1994, 4.4.8 参考13,11,12 引用文献 (英文献及び 文中の* 印は著者による翻訳) (1) Oxford Advanced Learner’s Dictionary, Oxford University Press (2) Wikipedia: Verification and Validation, 2008.3.8 (3) ISO/TC176: ISO9001/9004:2000の用語に関する指針、17 May 2001, N526R (4) C.MacNee他: Transition to ISO9001:2000, BSI Publications,2001; p.36 (5) C.A.Cianfrani他: ISO9001:2000 Explained,ASQ Quality Oress,2001;a-p.106,b-p.107 |
| H20.3.13 |
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