ISO9001/ISO14001 コンサルティング・研修
§42
適用除外・適用性 ISO9001:2015
 論理と用語   
33b-02-42
 
 
§0.1 概要   こちら
 
§0.2  実務の視点和訳⇔JIS和訳の対応:

     
 品質経営(活動) ⇔品質マネジメント$19-0;    品質経営体制 ⇔品質マネジメントシステム$19-1-1;  
 
  
(1) 適用除外・適用性の由来と規定の変遷
  適用除外という規格解釈は、94年版までのISO9001規格が、ISO9001だけでなく、設計開発の条項を含まないISO9002と、試験・検査に焦点を絞ったISO9003との3本立てであり、組織が必要に応じて適用規格を選択するようになっていたのが、00年版でISO9001に一本化されたことに関係する処置である。 例えば、業務受託型製造業の多くは製品の設計開発業務をもつ必要がなく、94年版まではISO9002を適用してきたが、00年版では7.3項(設計・開発)の適用除外を宣言することでISO9001適用に切り替えることができる。
 
  また、初版と94年版は、組織がその品質保証を実証する場合と顧客が組織の品質保証能力を評価する場合に用いられることが意図されており(序文)、組織や顧客の必要によって組織が適用する規定の範囲を、組織が独自に又は顧客との合意で選択し又は決定することができ、さらに、契約によって規格の規定の一部を追加又は削除して特別仕様の品質保証基準とすることも出来るようになっていた。このため、規格の選択と規定の修整のための指針を示す規格ISO9000-1(選択及び使用の指針)も制定されていた。
   
  規格が第三者認証に用いられることになった00年版では、組織が規定の適用を選択し修整するかどうかを組織と特定顧客の都合では決めることができなくなり、代わりに、規格の意図する品質保証(顧客満足)能力に支障を来すことのない場合に限り、特定の規定の適用除外が認められることになった。
 
  15年版では、「組織の品質経営体制に適用できる規格の規定はすべて適用しなければならない」という「適用性」の観点の規定 (4.3項)に変わった。また、08年版では、適用除外が製品実現の業務(7章)に限定されていたのが、規定上はこの制約がなくなった。この点から15年版の適用除外の記述には柔軟性があり、組織の業務実態と品質(顧客満足)保証能力の必要に応じて規定を選択できることになった。
 
  しかし、ISO9001規格は、不良品の出荷阻止、或いは、狙いの顧客満足の状態の実現のための組織の業務実行の在り方を規定している。従って、実務的には、どの改訂版においても規定の適用除外が出来るのは、当該の規定を適用しなくとも、顧客満足追求の活動が影響も受けない場合に限られる。適用除外規定の変化は単なる規定記述上の違いと受け止めてよい。
   
   
(2) 適用除外の事例
  適用除外規定が導入された00年版に関するTC176指針文書(1)では、次の適用除外の事例が挙げられている。
 
<例1> ABC銀行がそのインターネットバンキング事業のみに品質経営体制を確立した。これ自身は可。 しかし顧客個人情報を扱うので7.5.4項(顧客の所有物)の適用除外は不可。
<例2> DEF社は親会社と他社の製品と容器の仕様に従って清涼飲料を製造している。7.3項(設計・開発)の適用除外は可。 原料と容器の購入契約は親会社が行なうが、発注と受入検証はDEF社が実施するため、7.4項(購買)の適用除外不可。
<例3> HIJ法律事務所。新サービスの設計開発、既存サービスの変更がある。7.6項(監視機器及び測定機器の管理)のみ適用除外が可。
<例4> XYZ電話器製造会社。顧客が電話器の設計に責任をもっている。設計仕様書は 7.5.4項(顧客の所有物)で管理。 7.3項(設計・開発)は適用除外。
<例5> KML医療機器製造会社。政府規制は設計開発をQMSに含むことを必要としていないが、実際には製品の 設計開発を実施している。7.3項(設計・開発)の適用除外は不可。
<例6> NOP旅客鉄道の整備工場。車両の設計は行なっていないので、7.3項設計・開発)を適用除外。工場の顧客は鉄道運転部門。7.2(顧客関連のプロセス), 7.5.4項(顧客の所有物)を含む他のすべての条項は適用除外不可。
<例7> TCH社は製品の概念設計と販売のみ。詳細設計はHT&T社、製造はCBB社に外注。 CBB社の7.3項(設計・開発)の適用除外の他は、全3社のいずれもが7章(製品実現)のすべての条項を適用するべき。
<例8> CDH建設の事業は建物の設計施工。ただし設計はTPL設計に外注。これは7.4項(購買)で管理。CDH建設のプロジェクトマネジャーが設計検証、レビューに参画するなど、TPL社の設計活動が7.3項(設計・開発)に沿ったもので あることに責任をもっている。この場合、TPL社の設計開発活動はCDH社の品質マネジメントシステム 一部であることを主張できる。
<例9> AKP社は発動機製造。部品のトレーサビリティは社内的には不要だが、特定製品のある顧客から完全なトレーサビリティが要求されている。7.5.2項(識別及びトレーサビリティ)の適用除外は不可。
H30.10.9 
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サニーヒルズ コンサルタント事務所