ISO9001/ISO14001
コンサルティング・研修


解説
 
    実務の視点    規格要求事項の解釈
このセクションでは、ISOマネジメントシステム規格(ISO9001/ISO14001)の要求事項を
実務の視点で、様々な角度から読み解き、解説します。
目  次
ISO9001
2008年版(追補)
改訂の要点
英語で読み解く
ISO9000/14000
要求事項自問自答
やっぱり変だ
審査の視点!
正論・異論・珍説
総まとめ
実務の視点による
ISO9001:2000
の解説
システム運用
の実務

-定説の誤謬-
ISO14001
2004年版 改定
の要点
ISO9001
2000年版改定
の要点






DIS9001
要求事項の変更  総括
論評 我田引水
救世主になれそうもないISO9001の
2008年改訂(追補)版

ISO9001 2008年版 (追補) 改定の要点
DIS9001及びJIS仮訳による
31b
ISO9001 2000年版の改訂作業がCD1(2007年)からDIS(2007年6月)へと進み、
2008年10月に2008年版(追補)がて発行される見込みとなりました。
この改定の内容と意図について、
(財)日本規格協会主催の改訂要点説明会配布資料を基礎として
実務の視点で考えます。
改訂の重要度:  
      ★★★  要注視,       ★★  要留意,      ★ 知りおくだけ      
目 次                                    
1. 要求事項の変更 総括
2. 個別の変更
★★★
  ★
  ★
★★★
  ★
★★★
  ★
 ★★
  ★
★★★
  ★
  ★
 ★★
  ★
★★★
  ★
★★★
★★★
 ★★
 ★★
  ★
  ★
4.1項  品質マネジメントシステム 一般要求事項
4.2項  文書化一般要求事項
5 章   経営者の責任
6.2項  人的資源
6.3項  インフラストラクチャー
6.4項  作業環境
7.1項  製品実現の計画
7.2項  顧客関連のプロセス
7.3項  設計・開発
7.5.1項  製造又はサービス提供の管理
7.5.2項  製造又はサービス提供プロセスの妥当性確認
7.5.3項  識別及びトレーサビリティ
7.5.4項  顧客の所有物
7.5.5項  製品の保存
7.6項  監視機器及び測定機器の管理
8.1項  測定、分析及び改善 一般
8.2.1項  顧客満足
8.2.2項  内部監査
8.2.3項  プロセス の監視及び測定
8.2.4項  製品の監視及び測定
8.3項  不適合製品の管理
8.5.2項  是正処置

  1.  要求事項の変更  総括
[記述の変更]
  24条項、66件、69ケ所
 
[変更の分類]
@ 意図の明瞭化と考えられる変更: 32件
意図の明瞭化のために意味のある記述変更 15件
日本での誤解を解くのに有用 10件 ( 7.5.1, 8.2.2, 8.2.3, 8.2.4; 6.2.1, 6.2.2 b),c); 4.1, 7.5.4, 8.2.1 )
   
規格の価値を毀損する意図の変更 4件 ( 6.4, 7.5.1, 7.6, 8.2.4 )
   
日本での解釈には影響しない 1件 ( 7.2.1 d) )
   
JIS仮訳の誤訳で意図が取り違えられた記述変更 1件 ( 7.6 )
   
意図の明瞭化のために必要とまでは言えない記述変更 16件
 
A 単なる表現の変更 34件

規格内での表現統一 6件
ISO14001との表現統一 5件
英語表現の改善 15件
引用情報の最新化 4件
変更の目的が判断できない 4件
   
[組織、審査への影響]
本来不要な形式が要求される 1件 ( 7.6 )
形式が要求される可能性がある 1件( 6.2.1 )
形式が要求されるかもしれない 5件( 4.1, 6.3, 7.2.1, 7.5.4, 8.2.1)
このページの先頭へ H20.3.3

  4.1項  品質マネジメントシステム 一般要求事項 ★★★
[記述の変更]
  合計8ケ所の記述が変更、追加された。翻訳性改善のための用語の変更が2ケ所、英語表現の適切さの改善のための変更が1ケ所、規格内で不統一な表現の是正が1ケ所、意図の明瞭化のための表現の変更が2ケ所、意図の明瞭化のための注記の追加が2ケ所である。
 
[変更の趣旨]
  規格解釈に関係する変更は後二者の3ケ所の、アウトソース されたプロセス の管理に関する表現の変更のみである。この趣旨は、規格の枠組みと基本的考え方を示す4.1項という条項に ”アウトソース されたプロセスアウトの管理”が規定されている意図が、これまでより詳しく記述されたということである。すなわち、規格の品質マネジメントシステムは規格の各条項に相当するプロセス(業務)の有機的集合体であるが、組織の性格や実態によってはそれらのいずれかのプロセスが必要でなく存在しない場合があり得、また、プロセスを外注したことによって組織内に存在しない場合があり得る。前者のプロセスには規格の該当する規定を“適用除外”すればよいが、後者のプロセスについては規格の規定を供給者が適用、順守するように組織が管理しなければならない。ただし規格は、これをプロセスの結果としての製品・サービスの購買という観点から管理するための必要条件を規定している(7.4項)。これには供給者のプロセスの管理も規定されているが、これを意識しない硬直的な製品・サービスの管理では、供給者のプロセスの不始末によって組織の製品に深刻な不良が発生しないとは限らない。TC176はこの懸念とその防止のための“7.4項を越える”管理の方法を指針文書「アウトソースの指針」に表わしてきた。追補版はこれを反映した内容であり、その意味で規格の意図には何の変更もない。
   
[組織、審査への影響]
   規格の意図する“アウトソースされたプロセス”が注記2.として明確にされており、この種の業務を外注している組織は供給者の不始末によって組織の製品が影響を受けるのを防止するという観点から現在の管理を見直すことは有意義なことであろう。審査では、外注とアウトソースを別物とする考えの復活など組織の業務と品質マニュアル記述に形式的な変更が求められるようになるかもしれない。
このページの先頭へ 詳しくは <sub31-01-410>

  4.2項  文書化一般要求事項
4.2.1  一般
[記述の変更]

  合計4ケ所。ISO14001と同じ表現とするための変更3ケ所と意図の明瞭化のための注記の表現の追加が1ケ所。 
[変更の趣旨]
  ISO14001の4.4.4項(文書類)の表現との整合化のため、c)項が同d)項、d)項が同e)項と、それぞれ同じ表現となり、不要となったe) 項が削除された。また、参考(注記)1.に、複数の手順をひとつの手順書に規定するのもよく、ひとつの手順を複数の手順書に分けて規定するのもよいとの“文書された手順”に関連する説明が追加された。
[組織、審査への影響]
   全くない
 
4.2.3  文書管理
[記述の変更]

  ISO14001と同じ表現とするための変更が1ケ所。 
[変更の趣旨]
  英原文では、外部文書に関するf)項の表現がISO14001の4.4.5項(文書管理)のf)項と同じになった。但し、JIS仮訳ではわずかな違いがある。   
[組織、審査への影響]
   規格全くない
 
4.2.4  記録の管理
[記述の変更]

  合計3ケ所の記述の変更がある。JIS仮訳では変更理由を 4.2.3項の変更に伴う必然の記述変更とISO14001との表現の整合のための変更であると説明されている。  
[変更の趣旨]
  文章は変更されているが、意味するところは2000年版と変わらない。ISO14001との表現の整合が図られたようにも見えない。変更した理由がよく理解できない。   
[組織、審査への影響]
   全くない
 
このページの先頭へ H19.12.1

  5 章  経営者の責任
5.5.2  管理責任者
[記述の変更]

  意図の明瞭化のための表現の変更が1ケ所。
[変更の趣旨]
  管理責任者が組織の管理層から任命されなければならないことが明確に記述されることになった。JIS仮訳説明では、組織外からの管理責任者について議論があり、組織内であることを強調するための記述変更であるとされている。日本では、“マネジメント代行者”(management representative)が「管理責任者」と和訳されたため、役割や責任を誤解されている面があるのは事実だが、他国でも不適切な翻訳があったのかも知れない。
[組織、審査への影響]
   なし
このページの先頭へ H19.12.6

  6.2 人的資源 ★★★
6.2.1 一般
[記述の変更]

   規格内で不統一な表現の是正が1ケ所、意図の明瞭化のための注記の追加が1ケ所の、計2ケ所。
[変更の趣旨]
   資源マネジメントの対象の範囲の表現が、6.2項と他の資源の6.3, 6.4項とで異なっていたが、他の項と同じ「製品要求事項への適合性」という表現が使われることになり、注記の追加と合わせて、力量マネジメントの対象が品質マネジメントに関連するすべての業務を行う人々であることが、より明瞭にされた。
[組織、審査への影響]
   
製造やサービス提供の第一線にある要員のみを対象とするかの業務能力管理に対しては不適合指摘が行われる可能性がある。
  規格内で不統一な表現の是正が1ケ所、意図の明瞭化のための注記の追加が1件の、計2ケ所。
 
6.2.2 力量、認識及び教育・訓練
[記述の変更]

   標題がISO14001(4.4.2項)に合わせて変更された他、6.2.1項と同じ表現の是正1ケ所、及び、意図の明瞭化のための記述の変更が2ケ所ある。
[変更の趣旨]
   標題変更には特別の意味はない。 2ケ所の記述変更は、a)項の「必要な力量」という表現が、b)項、c)項でもそのまま用いられるになったことであり、「必要な力量」を特定し( a)項)、これを充足するための処置をとり( b)項)、これを確実に充足する( c)項)という力量マネジメントのPDCAサイクルを規定する規格の意図をより明瞭にするものである。
[組織、審査への影響]
   日本ではJIS和訳の「力量」(competence)の概念に誤解があり、規格の意図の力量マネジメントが個人の能力開発管理と混同されている。記述の変更はこのような誤解の解消にも寄与するものであろうが、変更された記述のJIS仮訳には規格の意図に関する今日までの誤解に気づき、或いは、解消しようとするところが伺われない。従って、記述の変更が審査に特段の影響を与えることはないと思われる。
   ただし組織が、これを機会にその人事関係のマネジメントの諸業務の手順を見直して、人数の不足を含めて担当者からトップマネジメントまですべての人々の何らかの業務遂行力の不足のために品質マネジメントの実行と結果に支障を来すようなことがないようにする枠組みがあり、実行されているかどうかを、つまり、6.2項の力量マネジメントの要件が満たされていることを確認するのが有意義と考えられる。
 

このページの先頭へ 詳しくは <sub31-01-620>

  6.3項  インフラストラクチャー
[記述の変更]
  意図の明瞭化のための記述の追加が1ケ所。
[変更の趣旨]
  c)項の支援業務の例示に「情報スステム」が追加された。規格
[組織、審査への影響]
   ない。但し、設備リストを要求する審査では、情報システムや関連機器の記載が必要になろう。
このページの先頭へ H19.12.15

  6.4項  作業環境 ★★★
[記述の変更]
  意図の明瞭化のための注記の追記が1件。
[変更の趣旨]
  CD9001の注記と表現は変わっているが、どちらも「作業環境」を2000年版以前の狭い概念に戻そうとするように見える。すなわち、2000年版では「作業環境」の定義(ISO9000 3.3.4)で、作業環境には物理的、環境的、社会的、心理的要素を含むとして、96年版の照度、気温、雰囲気清浄性などの物理的要素だけでなく、労働政策や能力開発支援など人々の勤労意欲を醸成する人的作業環境が品質マネジメントの諸業務の効果的実行に必要であることを示唆している。DISで追加された追記は、作業環境を「物理的、環境的及びその他の要素を含む」と狭くし、更に「騒音、温度、湿度、照度、天候など」と例を示している。今日、世界のマネジメントの理論や実務では日本的経営が発展させた勤労意欲を醸成する制度や施策の必要は常識である。従って、規格を効果的な マネジメントの規範と考えるなら、作業環境の概念の縮小は問題がある。規格が必要と規定している人々の「認識」(6.6.2 d)項)は、このような作業環境の下で初めて生まれるからであり、このことはISO9004(6.4)でも説明されている。しかし、これまでも規格執筆者の2人、C.A.Cianfrani, C.MacNeeの両氏の解説書では、人的要素についてほとんど触れていない。実際問題として作業環境の人的要素については、特に、登録審査の場合に適合性の判定となると、照度や温度のようには容易ではない。両氏の社会的、心理的な作業環境への素っ気ない姿勢もDIS9001の注記追加もここから来ているのかも知れない。
[組織、審査への影響]
   これまでも人的作業環境は審査で触れられてこなかったから、注記追加の審査への影響はない。しかし、不良品を出さず、顧客満足を得て事業を発展させようとする組織は、2000年版の作業環境の趣旨を踏まえたマネジメント を行うことが必要である。
このページの先頭へ H19.12.15

  7.1項  製品実現の計画
[記述の変更]
  英文法上の適切さのための英語表記の変更が1ケ所と、規格内で不統一な表現の是正が1ケ所の計2ケ所
[変更の趣旨]
  b)項の英語表記が、and で2つの不定詞を繋ぐ際の英文法の則った正しい表現となった。従って、JIS和訳には変更がない。また、必要な監視測定の活動を羅列するc)項には、「監視」はあっても「測定」がなかったので、これが追加され、本項でも両者が一対の活動として表現されることとなった。
[組織、審査への影響]
   まずない。
このページの先頭へ H19.12.19

  7.2項  顧客関連のプロセス ★★
7.2.1  製品に関連する要求事項の明確化
[記述の変更]
  英文法上の適切さのための英語表記の変更が1ケ所、規格内で不統一な表現の是正が1ケ所、及び、意図の明瞭化のための表現の変更が1ケ所の計3ケ所、の計3ケ所、更に、意図の明瞭化のための注記の追加が1件。
 
[変更の趣旨]
引渡し活動と引渡し後の活動: a)項の製品の“引渡し活動”と“引渡し後の活動”が別の活動であり、従ってそれぞれに関する要件は異なることを明瞭にする英語表記の変更である。つまり、現行の requirements for delivery and post-delivery activitiesでは、「引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項」と、“引渡し活動”と“引渡し後の活動”がひとつの活動とも受けとめられ兼ねない。これが、 requirements for delivery and for post-delivery activities と変えられ、「“引渡し活動”に関する要求事項、及び、“引渡し後の活動”に関する要求事項」であることが明確にされた。規格の意図を表す表現としては英語表記上、より適切になった。但し、JIS仮訳では「引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項」と変更はない。
法令・規制要求事項: c)項の「関連する(related to)」法令・規制要求事項が、「適用される(applicable)」になり、1.1 a)項、7.3.2 b)項と、また、ISO14001とも英語では同じ表現となった。但し、ISO14001のJISは、同じ applicable を「適用可能な」と和訳している。 applicable の和訳なら、ISO/DIS9001のJIS仮訳の方が正しい。
追加要求事項: d)項の追加要求事項に関して 「組織が決定した(determined by organization)」から「組織が必要と考える(considered necessary by …)」に変更された。2000年版のDISまでは、7.2.1項は「顧客要求事項の決定」であり、a), b), c)項で構成され、d)項の「追加要求事項」は、7.2.2項でこの顧客要求事項を「組織が決定した追加要求事項と共に レビューする」よう規定されていた。顧客要求事項を満たすことを前提として、組織の必要をも製品品質やその他の関連仕様に反映することで効果的かつ効率的に顧客満足を向上させることができるという規格の意図の反映が、この“追加要求事項”である。英語の変更は、規格のこの意図をより明瞭にすることが狙いであると考えられる。但し、JIS和訳では既に「組織が必要と判断する追加要求事項」となっており、これがJIS仮訳では「・・必要と考慮した・・」と変更されているから、規格の意図はむしろあいまいになった感がある。
これに関して、“引渡し後の活動”には、保証条項の下での活動、保守サービスなど契約にある業務、廃棄物の再生や最終処分などの補足業務が含まれるとする説明が注記として追加された。
引渡し後の活動の例: 追加された注記は、“引渡し後の活動”には、保証条項の下での活動、保守サービスなど契約にある業務、及び、廃棄物の再生や最終処分などの補足業務が含まれるとする説明である。 “引渡し後の活動”はa)項に記述されているから、規格の意図は契約や受注時に注記の例示のような活動の必要の有無を間違いなく顧客に確認することが必要だということである。しかし、実際には契約で明示されなくとも、包装や引渡し方法、或いは、製品使用相談、苦情受付などの「引渡しや引渡後の活動」、更には、製品構造や関連製品との相性の説明など“引渡し前の活動”が、製品の顧客満足に必要な場合が多い。 規格の b)項は「引渡しや引渡後の活動」にさえ、直接には言及していない。注記の例もこれらの種類の活動を含んでいないから、注記によってこれら活動の必要が無視される恐れなきにしもあらずである。また、実際の契約の“引渡し後の活動”も注記に例示されているもの以外にも多い。規格の意図が却って狭められる危険もある注記の追加である。
[組織、審査への影響]
   影響はまずないはずであるが、追加要求事項を“考慮した”した証拠を要求されることになるかもしれない。
このページの先頭へ H19.12.19

  7.3項  設計・開発
7.3.1 設計・開発の計画
[記述の変更]

  意図の明瞭化のための注記の追加が1件。 
[変更の趣旨]
  設計開発のレビュー、検証及び妥当性確認は目的が異なる活動であるが、適当なら同時に行ってもよいという説明が加えられた。
[組織、審査への影響]
  ない
   
7.3.2 設計・開発へのインプット
[記述の変更]
 
英語表現上の適切さのための英語表記の変更が1ケ所。
[変更の趣旨]
 
These inputs が The input に改められた。前文のInputs は不特定の“インプットというもの”であるから、それを受けて“そのインプット”という意味では、Theseより The inputが適切な表記と言える。JIS仮訳の日本語の変化もわずかであり 意味は全く変わらない。
[組織、審査への影響]
 
 ない
   
7.3.3 設計・開発からのアウトプット
[記述の変更]

  英語表現上の適切さのための英語表記の変更が1ケ所 及び、意図の明瞭化のための注記の追加が1件。 
[変更の趣旨]
  設計・開発のインプット に対する検証(JIS和訳では「インプットに対比した検証」)が「できるような様式で」提示されることという表現が、「に適した様式で」に変更された。「検証が可能な様式(enable)」より「検証に適当な様式(suitable for)」の方が規格の意図に近い表現と言えばそうである。追加の注記は、アウトプットが含まなければならない「製造又はサービス提供に関する情報」には、その後の「製品の保存」の情報も含むことを説明するもの。
[組織、審査への影響]
   ない
このページの先頭へ H19.12.30

  7.5.1  製造又はサービス提供の管理 ★★★
[記述の変更]
  意図の明瞭化のための注記の用語と表現の変更が各1件。
[変更の趣旨]
  規格d)項の JIS和訳「監視機器及び測定機器」の“機器”の英語は、deviceであるが、これが7.6項の device と共にequipment に変更された。規格の意図の重要な変更であり、7.6項で考察する。
 
  もうひとつは、f)項のJIS和訳「リリース (次工程への引渡し)」の原英語release がproduct releaseとなり、JIS仮訳「製品リリース (次工程への引渡し)」となった。 これも8.2.4項の同じ事項に関する変更と関係しており、8.2.4項で考察する。
   
[組織、審査への影響]
   d)項の変更は、規格の性格や効用に重大な影響を与えるものであるが、審査には影響はない。f)項の変更も実務上変えなければならないことはなく、JIS和訳が変更されないので、審査への影響はない。
このページの先頭へ H20.1.3

  7.5.2項  製造又はサービス提供に関するプロセスの妥当性確認
[記述の変更]
   表現の適切さの改善のための変更が1件。
[変更の趣旨]
   「プロセスの妥当性確認」を適用するのは、 「プロセスの妥当性確認」を適用するのは、現行では「結果がその後の監視測定で検証できないプロセス」に対してであり、そのようなプロセスには「製品が使用されてからでないと不具合が顕在化しないプロセス」があるという奇妙な表現である。これが「結果が検証できず、従って結果的に不具合が製品の使用後にしか顕在化しないプロセス」と適切になった。
 
  なお、CD9001では、サービスには引渡し前に検証不可能なものが多いとの説明の注記1.と、「溶接、殺菌、教育訓練、熱処理、コールセンターサービス、緊急事態対応プロセスは妥当性確認が必要」とする注記2.があった。いずれも品質保証における妥当性確認の意義を誤らせ、範囲を狭め兼ねない説明であったが、DIS9001では両者とも削除された。
[組織、審査への影響]
   なし
このページの先頭へ H20.1.10

  7.5.3項  識別及び トレーサビリティ
[記述の変更]
  表現の適切さの改善のための変更が2件。
[変更の趣旨]
  製品の識別のみ「製品実現の全過程において」行うと規定されていたのが、製品の状態の識別にもこの文言が追加された。また、トレーサビリティに関連して文章が変更され、「識別を記録する」という意味不明文言が「記録を維持する」と適切になった。
[組織、審査への影響]
   なし
このページの先頭へ H20.1.10

  7.5.4項   顧客の所有物 ★★
[記述の変更]
  英語表現の適切さの改善のための変更が1件と意図の明瞭化のための注記の変更が1件の合計2件。
 
[変更の趣旨]
  文章の変更は、英語の表記又は文法上の不適切さの是正であり、JIS和訳はほとんど何も変わっていない。
 
  また、知的所有権が規格の意図の顧客所有物に含まれるとの注記に、個人情報が追加された。
 
[組織、審査への影響]
   組織は顧客満足に影響する個人顧客の情報の取り扱いに不備がないか念のため見直すとよい。審査は基本的に注記の変更により影響を受けることはないが、個人情報保護の施策と手順への要求が強まるのかもしれない。
このページの先頭へ H20.1.16

  7.5.5項   製品の保存
[記述の変更]
  英語表現の適切さの改善のための変更が2件。 
[変更の趣旨]
  「製品の適合性を保存する(preserve)」が「要求事項への適合性を維持する(maintain)ように製品を保存する(preserve)」と英語表記が適切になった。2000年版JISは既に「製品を適合した状態のまま保存する」と和訳しているからとりわけ、英語表記の変更以上の意味合いはない。もう1件も英語表記の改善。   
[組織、審査への影響]
   ない
このページの先頭へ H20.1.16

  7.6項  監視機器及び測定機器の管理 ★★★
[記述の変更]
  英語表現の適切さの改善のための表記の変更が1件、及び、意図の明瞭化のための用語の変更が1件2ケ所、同じく表現の変更が2件、注記の追加が1件、及び、不要となった他条項引用と注記の削除が2件と1件の、合計6件、8ケ所。 
[変更の趣旨]
監視及び測定の手段と機器:  品質保証活動において組織は、製品が7.2.1項で定めた要求事項に適合している証拠を得ることが必要であり、この証拠を得るためにどのような監視や測定が必要で、どのような「監視及び測定手段(device)」が適切かを決定しなければならない。そして、この「監視及び測定手段(device)」の内の「測定機器(equipment)」で、常に正しい測定値を得るために校正又は検証が必要なら a)〜e)項に従って校正又は検証をしなければならない。JISはどちらも「機器」と和訳し、誤訳もあってこのような規格の意図を表現していない。CDでは、このdeviceとequipmentの違いを説明する注記が追加されたが、DISでは一転して、どちらもequipmentになった。これに伴い、7.5.1 d)項もequipmentに変更された。監視や測定には、視覚など多様な手段があり、機器の精度も大切だが、各製品やプロセスにどのような監視、測定手段を用いるべきかの決定の方がより本質的で重要である。この変更は規格の効果的マネジメントの規範たる性格を毀損するものである。
校正の識別: c)項のまわりくどい英語表現の改善のための変更だが、JIS仮訳では「識別表示を付ける」とされ、要求事項の大きな変更となった。
関係条項引用の変更: a)項の「校正又は検証に用いた基準を記録する」に「4.2.4参照」がつき、冒頭の「7.2.1参照」が削除された。規格理解に却って誤解を招きかねない変更である。
校正又は検証: a)項の「校正又は検証」が「.校正又は検証、若しくはその両方をする」となった。意味のある変更とは思えない。
注記の削除と追加: 注記の削除と追加: 参考「ISO10021-1、-2を参照」が削除され、新たな注記「意図した用途を満たすコンピューターソフトウェアの能力の確認は、通常、その使用の適切性を維持するための検証及び構成管理も含まれる」が追加された。この注記を設けるなら本項が適切かどうかの問題が残る。
[組織、審査への影響]
   日本では事実上測定機器の校正の規定として適用され審査されてきたし、JIS誤訳の修正の見込みもないので、equipment への統合は審査への影響はない。校正の識別に関するJIS仮訳がこのままなら、審査では校正台帳による管理だけでは不適合となる恐れが強い。deviceの抹消を規格の意図の変更と受けとめて、文字通りに要求事項を緩和する対応をとり、品質マネジメントシステムの効能を低下させる組織がでるかもしれない。
このページの先頭へ           詳しくは <sub31-01-760>  (H20.1.28 追加、訂正)

   8.1項   測定、分析及び改善   一般
[記述の変更]
  規格内の表現の統一のための変更が1件。
[変更の趣旨]
  a)項の 「製品の適合性」が「製品要求事項への適合性」と変更された。
[組織、審査への影響]
   なし
このページの先頭へ H20.2.1

   8.2.1項   顧客満足 ★★★
[記述の変更]
  意図の明瞭化のための注記追加が1件。
 
[変更の趣旨]
  「顧客の受けとめの監視には、顧客満足調査、引渡した製品品質の顧客評価データ、使用者の意見の調査、逸注分析、顧客からの賛辞、保証の請求、代理店からの報告などの情報源からのインプットを入手することを含んでよい*」という注記が追加されて、顧客満足に関して監視する情報が例示された。
 
  一方、CDでは、JIS和訳「品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定のひとつとして」の原文、  As one of the measurements of the performance of the quality management system   が、 As one of the indicators へ変更され、JIS仮訳も「….の指標のひとつとして」となっていて、この分の現行JIS和訳の不適切さが改められた。 しかし、DISでは、この変更が取り消されて、代わりに注記が追加された。
 
  顧客満足向上を図る業務体系である品質マネジメントシステムの成果は、狙いの顧客満足が得られたかどうかで判断されなければならない。 そのためにはどのような情報を用いてどのように分析する必要があるのかというのが、8.2.1項の趣旨である。measurements を単純に「測定」と和訳したのでは、規格の意図が読み取れない。
 
  組織の発展のために必要な顧客満足とは何か、何を目標に製品を製造又はサービス提供して顧客に引き渡す活動をしているのかを明確にすれば、その一定期間の結果が品質マネジメントシステムの実績(performance)であり、それを何で評価するのかが「指標(measurements)」である。 これを追跡することが、8.2.1項の意図である。とんでもない不良を出さない限りは他組織に伍してやっていけるというのなら、不祥事防止が品質マネジメント システムの成果の指標であり、不祥事発生有無が顧客満足の監視の情報であってもよい。
   
[組織、審査への影響]
  かなり形式的な顧客満足度調査と苦情推移グラフだけで、8.2.1項への適合が認められてきたが、注記に例示の情報についても審査で提示が求められるかもしれない。 多くの組織は、CD, DISの変更が示唆する規格の意図に沿って、8.2.1項に関係する施策や手順を見直しすることが必要である。 これが、変化するかも知れない審査への確かな対応にもなる。
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  8.2.2項  内部監査 ★★★
[記述の変更]
  意図の明瞭化のための表現の節を分割しての変更が1件(2ケ所)、及び、表現の変更が1件、更に、注記の表記の最新化が1件の計3件。
 
[変更の趣旨]
  内部監査で発見された不適合に関して、「処置がとられる」から「必要なすべての修正及び是正処置がとられる」と表現が変更され、すべての不適合に修正及び是正処置をとらなければならないとされている日本の規格解釈の誤りが明確になった。 元々、この条文、処置が必要なら「遅滞なく」実行しなければならないと言うのが趣旨であり、原文の英文法上正しい和訳は「発見された不適合及びその原因を除去する処置が遅滞なくとられる」であり、すべての不適合に対する修正及び是正処置という解釈は行き過ぎである。この他の変更には格別の意図も問題もない。
   
[組織、審査への影響]
   不適合のすべてに是正処置をとる必要のないことが明確になったので、発見された不適合を、効果的なマネジメント、或いは、狙いの顧客満足の実現という観点でどのように処理すればよいか、組織自身で判断することができる。しかし、JIS仮訳は、この条文の表現変更を「“処置”の明確化のため、“修正及び是正処置”が追加された」と説明しており、「必要なすべての(any necessary)」の追加は和訳されているが、変化に言及していない。従って、審査ではこれまで通り、不適合のすべてに修正及び是正処置をとることを求められる可能性が強い。
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  8.2.3項  プロセス の監視及び測定 ★★
[記述の変更]
  意図の明瞭化のための表現の変更が1件、注記の追加が1件。
 
[変更の趣旨]
  プロセス の監視及び測定で、プロセス が所定の結果を出せないことがわかった場合に修正、是正処置をするのが、「製品の適合性の保証のために」と規定されているが、この記述が削除された。
 
  そして、プロセス の監視、測定の方法は、そのプロセスの重要性に応じたものでよいとする注記が追加された。注記は、この重要性が「製品要求事項への適合性及び品質マネジメント システムの有効性への影響」との関連での重要性であることを明確にしている。 監視、測定の対象がすべてのプロセスであるとしても、それぞれの必要に応じた監視、測定の方法でよいというのが規格の意図であり、実務では製品の監視、測定によってプロセスを管理することも普通である。 なんでもかんでも一律にという誤解を解消する方向での注記の追加であろう
 
[組織、審査への影響]
   すべてのプロセスの監視、測定が必要とする論理から各業務に無理に監視測定項目を設定するような解説があるが、実際には、規格の意図から必要な事項まで監視も測定もされていないのが現実である。 組織はこの機会に、データ分析(8.4項)の必要が規定される事項についての監視測定の実態を見直すのがよいと思われる。審査には影響はないだろう。
このページの先頭へ  H20.2.7

  8.2.4項   製品の監視及び測定 ★★
[記述の変更]
  意図の明瞭化のため文節の一部を分離したのが1件、表現の変更(語句の追加)が2件、英語表現の修正が1件の計4件。
 
[変更の趣旨]
第2節の「合否判定基準への適合の証拠を維持すること。記録には、製品のリリースを正式に許可した人を明記すること(4.2.4参照)」の前半が第1節に組み込まれて、後半だけが第2節として残された。 JIS仮訳説明では、合否判定基準への適合の証拠を「記録」として管理しなければならないとの誤解を避けるためとされている。 この説明では検査結果の記録は残さなくともよいということになる。これは、検査結果の記録は、苦情があった場合に顧客に対する申し開きと原因追求に不可欠という組織の実務とかけはなれた暴論である。分節した本当の理由は別にあるのだろうが、推察できない。
 
  「製品のリリースを正式に許可した人」の「リリース」が「顧客への引渡しのためのリリース」と変更された。これは「リリース」が製品を組織から出すことであることを明瞭にした語句の追加であろう。ただし、JIS仮訳では「顧客への引渡しのための製品の リリース(次工程への引渡し又は出荷)」と原文にはないJISだけの注釈がそのまま残されている。
同じ文言「顧客への」が第3節の「製品のリリース(出荷)及びサービス提供」にも追加された。こちらは元々、(出荷)と注釈がついているから問題はない。
 
  同じ規定の部分の英語が Product release and service delivery から、The release of product and delivery of serviceと英文としてより適切な表現に変更された。ただし、 service delivery は「サービスの引渡し」であるのを「サービス提供(service provision)」とする誤訳はJIS仮訳でもそのまま残されている。
   
[組織、審査への影響]
   審査は変わらないと思われるが、検査の記録の管理を緩める組織が出てくるかもしれない。
このページの先頭へ H20.2.11

  8.3項  不適合製品の管理
[記述の変更]
  英語としての表記の改善が1件、意図の明瞭化のために、より詳しく正確にされた表現が1件、文節の順序の変更が1件、文章の文節を越えての移動が1件の計4件(文章変更ケ所では6件)。
[変更の趣旨]
  文章の文節を越えた移動は、引渡し後又は使用後に検出された不適合の処置に関する規定が、組織内で発生した不適合製品の処理の方法のa)〜c)項と一緒にされて、そのd)項として位置づけられたことによる。この他は特段の意味はない。
[組織、審査への影響]
   なし
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  8.5.2項  是正処置
[記述の変更]
  英語としての表記の改善が1件。
[変更の趣旨]
「不適合の原因を除去する処置」の「原因(cause)」が単数形であるのを、複数形のcausesに訂正された。
なお、CDでは、本項と8.5.3項(予防処置)のそれぞれ f), d)項の「….処置のレビュー(JIS和訳: …..処置において実施した活動の レビュー)」が「….処置の有効性のレビュー」に変更されていたが、DISではこの変更は取り消された。変更取り消しは、規格の意図に鑑みて適切である。
[組織、審査への影響]
   なし。
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